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ぼちぼち起床、10時過ぎの中央駅発ICEで再びベルリンへ。今回は明日一日美術館巡りの予定での首都行きなんだけど、今晩はグラコウスキ/内橋(和久)/カウフマン/ホンジンガーのライヴも。気に入った前回と同じ宿にチェックインしてちょい休憩後、ライヴまでは時間あるので、宿のお兄さんに今日までだからと薦められたWandelismに寄ってくことに(逆方向だけど)。無料ということもあるのか着いてみたら長蛇の列、小雨の中を40分程待ってようやく入館。ストリートアートのイベント。
先週バスキア展観たばかりなので、気合い入れ過ぎ感に一寸食傷。さっと見て、S/Uバーンを乗り継ぎ乗り継ぎライネ通り駅下車、
Sowiesoに着いたのは丁度夜8時。一番乗りで、ステージ目前に着席させていただく。8時半ごろから客も少しずつ入ってきて、9時にはメンバー全員揃い、少し過ぎたところで徐に四人が楽器を奏で始め(音合わせかと思うさり気無さ)一曲目。内橋和久はダクソフォーン(daxophone)を演奏。中心も主導者もない生の即興音楽。これに飢えてたんだよー。15分ほどの休憩挟んで2曲。内橋氏はギターメインで合間ダクソフォーン。演劇的なパフォーマンスも入り、席からは笑い声も。アンコールで数分の短い曲。どの曲も唐突に始まり唐突に終わるこの感じ。来てよかった...というか、Sowiesoって高瀬アキとかも出てるのでした。週末面白そうなライヴがあったらまた来よう。
終わったのは10時半ごろ、グラコウスキと一寸話して(フランクフルトはこの手の音楽の呼び屋が居ないのよね...みたいな話)賑わうハコを後に、U/Sバーン乗り継ぎで宿に戻る。夜のU8は、駅も車内も物騒なのであった。
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マンガオタの総務部長M氏と待ち合わせ中央駅6時47分発ブレーメン行きの電車でウェルゼン(Uelzen)乗り換えムンスター(Munster)下車、
ドイツ戦車博物館は駅から歩いて15分で到着ほぼ正午。WW1から現代までの戦車で一杯。パンツアーとタイガー、キングタイガーの巨大さ想像を超えていて驚愕。前大戦、どれだけ鉄を消費したのか...。レオパルトもI型、II型、各バリエーション、最新のプーマ走行歩兵戦闘車、イスラエルのメルカバの巨体、博物館中央に位置するは衣裳・銃器の展示にはロンメルのデスマスクとジャケットも展示。あっという間に3時になり、二人興奮しながら駅に戻る。戻りはハノーファーでICE乗り換えでフランクフルト中央駅8時過ぎ。早起き日帰りの甲斐ありましたね。すっげー楽しかった。
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「道化師の蝶」円城塔
"旅の間にしか読めない本があるとよい。"で始まる2012年芥川賞受賞作(表題)と、
チャールズ・ユウへの回答作「松ノ枝の記」の二編を収録。てことで、今回の旅行移動中に敢えて読んでみた。いつもの数学的なメタ構造を畳んだり拡げたりする文字世界、移り変わる風景を車窓に感じながら少し不思議な感覚で物語に入りこめた感じ。いずれも、出てくる言葉が色彩豊かで、ミニマルで幾何学的なSFな諸作よりも読み易いと思われ。
神林長平が"世界の構造を変えてしまう言葉"について書こうとしたのに対して、円城氏はその言葉自体を編み出しているようで、こと"言葉"ネタに関しては円城氏の登場で書かれるべきものの次元が変わってしまったなあ...と、しみじみ。
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3月末退社のQAマネージャの最終出社日。ここだから書くけど、正直方針合わずどうしたものかな...つう感じだったんで、ホッとしている。代わりにコンサルタント女史を起用するんだけど、この人は感覚が合ってるので、この体制で落ち着かせたい。
Evergoodsの24Lバックパックを公式サイトから購入も、スイス経由で郵送されてきたためなのか関税50ユーロ取られてしまって一寸がっかり。使い心地は良さそう。今メインで使ってるのが
teranishiの旧Ventureなんだけど、日常使いだとトップローダーよりも全開パネル式の方が好い気がする。明後日の日帰り旅行で使ってみようと思う。(昨日から自転車通勤を再開したので、普段使いは当分
MissionworkshopのMontyになりそう。)
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起きたら時計が1時間進んでいた。シルン美術館に
バスキア展を観に行く。8.5ユーロでこの内容が観れるなんて、素晴らしいこと。80年代、思えばリアルタイムでジム・ジャームッシュやラウンジリザースなどNYのインディーシーンが入ってきてた時代を自分も過ごしていたんだなあ...と感慨も、初心に戻される気持ちにもなり、凄く良かった。ユニクロのバスキアTシャツ着ていった。こんなとこで機会があるとはね。併設の"
Power
To The People"(デモクラシーをテーマにした複数のインスタレーション展示)は、物足りず。
帰宅後、読書(↓)して午後を潰し、夕方は新人M君が
この辺で一番好きというベトナム料理屋で、M君、マンガオタの総務部長M氏と晩メシ。デザートで食べたココナツミルクでバナナを煮た奴が殊の外美味。
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「ヤキトリ1」カルロ・ゼン
副題"一銭五厘の軌道効果"。「幼女戦記」の原作者によるSF戦記モノ。汎銀河種族にあっさり征服された地球から(この辺「銀河ヒッチハイクガイド」っぽくもある)、地上戦用兵器として募兵されてく人間をその消耗の激しさから(約7割が一度の降下戦で死ぬ)"ヤキトリ"と呼ぶ。シリーズものになるらしく、この1巻目では、主人公たちが兵士として訓練されていく様子が中心。彼らを大義に利用しようとするフィクサー的な人物も出てきて、大きな話になりそう。まあ、半日で読めてしまう手軽さというかテンポの良さは好ましい。シリーズ追っかけるかは積読の消化状況次第。
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フランクフルトの週末。読書、ラーメン、帰国するK君の空港への見送りで一日だらだらと過ぎる。
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「言壺」神林長平
第16回の日本SF大賞受賞作、1988年から94年までに発表された"言葉"をテーマにした連作短編をまとめて94年に中央公論社から刊行されたものが、2011年にハヤカワから円城塔の"解説文"を加えて再文庫化。ワープロの自動変換・校正機能が高度な文書作成支援を備える言語コミュニケーションツールとして進化した挙句、ヒトの在り様すら変えてしまう。収録9編は、共通の世界観をベースにしつつも必ずしも連続性があるわけではなく、それがメタフィクション的なトーンを出しているところも"詐術"的。書かれた時代が25年近く前だということを考えると(今日のネット社会が出現する前...モデムで繋いでたパソコン通信の時代だよね)、この現代感...加速的なコミュニケーションの変質とAIによるセカイへの介入、そのままじゃないですか。
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9時過ぎにチェックアウトして先週行った
Blå方面にある
カフェ"Hendrix"。珈琲とクロワッサンで朝食。ここは中古レコードも売っていて、久しぶりにアナログ盤の箱を漁る。→凍結した道を1時間近く歩いて白銀の
ヴィーゲラン彫刻公園。"生命の環"そばのベンチで休憩。→トラムに乗り港で下車。アーケシュフース城を散策し港を一望。→中央駅まで歩いて→空港→遅れてオスロ発16時過ぎ→フランクフルト着18時半→帰宅19時過ぎ。いつものようにまずは洗濯。ノルウエー週間終了、2週間伸ばしてきた髭を剃る。
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再びオスロ。正午過ぎのフライトで、
先週と同じ宿に入ったのは16時前。夜のライヴまで時間あるので、行ってみたかった
Bare
Jazzというジャズ専門レコード店兼カフェに行ってみる。2階のカフェはほぼ満席、カウンター前で慌ただしく珈琲飲んで1階で買い物。Ingebrigt
Håker
Flatenのベースソロ(エレベ、アコベそれぞれ1枚モノ)など数枚購入。近くのNorrønaショップにも行きたかったんだけど、土曜日はお店軒並み5時閉店で寄れず。Fuglenに寄って再び珈琲。一度宿に戻って、開場時間前の今夜のハコ(Nasjonal
Jazzscene)に出かけると、既に列が出来始めている。9時過ぎにElephant9登場。新譜からの演奏。怒涛のドラムにうねるベース、バリバリのハモンド。横に揺れながら始まり後半縦ノリに畳みかける感じは同じなんだけど、演奏の熱さと音圧でサイケデリックに盛り上がっていく。気持ちよかったです。
終演後(10時半)、腹減ったのでハンバーガー買って帰って宿で食事。スエーデンのチェーン店MAXバーガー、なかなかの不味さ。録音チェックするも、ちょっと失敗。
13
日本人学校理事会。ほぼ幼稚部の待機児童問題、企業会員の会費徴収問題で1時間半。大人の事情で子供にシワ寄せってケースはなんとも哀しい。出してくれるお弁当は、寿司より幕内がいいなあ。
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日系企業のフットサル大会。Wiesbadenから来るF氏を中央駅で迎えて、会場へ。
昨年よりチーム数が減って試合数は増え、1勝4敗で最下位の7位。正午に終了、先日行った中華麺屋でグループランチ。電車・バスだと1時間半帰宅にかかるF氏を自宅まで送って(車だと20分強)帰宅。
10
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9日(金曜日)の夕方のフライトでSupersilentを観にオスロへ飛ぶ。オスロ着18時過ぎ、
宮殿下の宿には19時過ぎにチェックイン。20時前に宿を出て、凍結した道をライヴハウスの
Blåまで歩く。演奏始まったのはほぼ21時半。
約8年前にMoldeフェスで観た頃と違ってドラムセットは無く、キーボードにシンセ、音響機器、ラップトップを三人が演奏するゴシックなノイズ音楽。抑制と爆音のコントラスト、毛髪が震えるほどの重低音にドップリ浸る。Arveのトランペット、Ståleのキーボードをそれぞれフィーチャーした静謐で抒情的な少し短めの2曲を挟み全4曲、1時間20分強。終盤の黙示録的な轟音。Moldeフェスで観たときは、「ライヴはピンとこないなあ...」と少しネガティブな感想だったんだけど、ブッ飛びました。文句なし。最高。
23時過ぎに終了。宿近くのカフェ(
Fuglen、東京にも支店があるらしい)に寄って、コーヒー飲んで戻る。
今日は、
BRUTUSの2012年11/1号の特集記事に載ってるオスロのカフェ巡り(昨晩寄ったとこもそれで知ってた)。宮殿向こうの
Mocca、戻って市庁舎から港経由で中央駅に向かい、
Stockfleths。ブラックコーヒーはノルゥエー語で"Svart
Kaffe"。クロワッサンは最高に美味い。13時過ぎオスロ発のフライトで帰宅16時前。
07
昨晩の会食で、駐在員O君が「前大戦で日本は中国に侵略してない」旨の発言を突然して、びっくり(一緒にいた英国人もイタリア人も"ええっ"って雰囲気に)。「昔はそいう風に教育されたんだと思いますが...」みたいなことを自宅に送る車中でも言ってて、怖いなあ...と。自分の子にはちゃんと話しておかないとなあ、としみじみ思う。
Amazonプライムの「弁護士ビリー・マクブライド」(吹替版)を観終わる。ウィリアム・ハート演じる悪役が思わせぶりだった割にボスキャラとしては意外に脆く、序盤の展開が面白かっただけに一寸気が抜けた終盤。ビリー・ボブ・ソーントンは文句なくカッコいいんだけどね。
06
ほぼ全社員集合して、月曜日、火曜日と二日間の日欧異文化研修。今日の〆の挨拶でスベってしまい、嫌な汗。こういうの引きずるんだよねえ。昨晩の全員会食に続き、今晩も明日のプロジェクト会議に英国から出張してきたコンサルタント二人とメンバーで
会食。誰が振ったのか、政治の話になってしまう。
上司である事業部長の更迭人事が公表されて、社内に衝撃が走っている。まあ、今のままではもうもたないとは思っていたので、個人的に驚きはない。
04
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「赤いオーロラの街で」伊藤瑞彦
明日、巨大太陽フレアが発生したら...。突発的な地磁気の激変動で、世界中の稼働中変電設備が一気に壊滅、その後の世界は...という地球規模的災厄モノを北海道はオホーツクの斜里町を舞台に描く。気弱な若手エンジニアを主人公に、フレア発生からその1年後くらいの復興に努力する市井の人たちの姿の中に、"発電"や"電力"に関する蘊蓄が色々挿入されて科学読み物として面白い。第五回ハヤカワSFコンテスト最終候補作ということで著者のデビュー作。SFとしての醍醐味は薄いが、さくっと読めるし、一般の人にも読んでもらえれば..と思う。
いつも行くラーメン屋の開店一周年記念で、今週末のみキリンビール、ラムネ、ウーロン茶、餃子がそれぞれ1ユーロ。月末に帰国する駐在K氏、新人のベトナム系ドイツ人M君を誘って、昼メシ。ちょっとビール飲んだら眠くなって、夕方までソファで昼寝。
03
深夜の雪で外は白い。
先日の人間ドックで運動不足を痛感したこともあって、軽く雪道をハイキングしにリューデスハイムへ。駅に車を停め、葡萄畑の中をニーダーヴァルト記念碑まで登り、森の中のライン川ハイク道に従いアスマンスハイゼンまで。アスマンスハウゼンからは、葡萄畑をエーレンフェルス城址を見下ろしながらリューデスハイムに戻る舗装路。森の中は軽アイゼンを履いて、でも雪は思ったほど深くなく。
13.93km、4時間12分、消費1,801kcal。午後3時には帰宅。
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「虚ろなる十月の夜に」ロジャー・ゼラズニイ(森瀬繚
訳)
原題"A Night In The Lonesome
October"、1993年刊行のゼラズニイ最後の小説。竹書房から。万聖節前夜が満月となる夜に行われる"旧き神々"の再臨の儀式、当代の怪人達が集い、"開く者"と"閉じる者"に分かれ魔術的な決戦を行う。怪人達は来るべき儀式の場所と登場人物および陣営の見極め、そして決戦の準備のため、自らのみならず動物を使い魔として駆け引きを行う...。明確に素性や背景は語られず、10月1日から日記形式で、駆け引きの様子が、"ジャック"の使い魔である犬のスナッフを通して綴られるという趣向。多相な意味を感じさせる抑制された会話劇。読みながらゲームに参加している感覚にさせられる。痺れる。...表紙画が残念過ぎる。久正人氏にして出しなおしませんか?
01
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