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11 '25
16
今日から週末まで福岡。

「ヒロシマめざしてのそのそと」ジェイムズ・モロウ(内田昌之 訳)
原題「Shambring Towards Hiroshima」、2009年刊で邦訳出たばかり。竹書房。シオドア・スタージョン記念賞受賞作。長編は初翻訳だけど(短編も邦訳は1編のみ)、90年代に世界幻想文学大賞を複数回受賞している。  ”米国海軍、怪獣映画を制作す!”と帯にあるように、太平洋戦争終盤、日帝の降伏を引き出すため、原爆開発と並行して巨大怪獣を使うという作戦を秘密裏に進めた米海軍。あまりの破壊力に、これを使うよりも、日帝政府から要人を招きシュミレーションを見せることで兵器を使用することなく降伏させよう...という計画に変更。ハリウッドのB級映画俳優をキャスティング...ってことで主人公が登場するんだけど、これはその俳優氏が書いている回顧録という趣向。なんとなくバートン・フィンクを思い出す変な話に、当時のB級モンスター映画の実名・架空の人物が入り乱れるスラップスティックなんだけど、終盤の展開にはからずも感動させられるメッチャいい話だった。濃厚なモンスター映画愛に核に支配される世界・民間人を殺戮する戦時の論理への警鐘。こんな愛くるしい話に世界平和への思いを語られたら、そりゃあ胸熱くなるでしょ。涙腺も緩むってもんだ。これをキッカケに他の長編も邦訳出るといいなあ。
15
昨日電話があって、腹部MRI検査の結果、緊急ではないけど気になるなら次回受診前に説明しますよーということだったので、今日の午前中に聞きに行く。異常は認められず、引き続き原因不明。基準値越えも程度は著しく高値というわけでないので3カ月にもう一度血液検査しましょうということで一旦落ち着いた。
13
「息吹」テッド・チャン(大森望 訳)
原題「Exhalation」、2019年刊、邦訳は単行本で同年、今回読んだのは2023年の文庫版。帯にある"世界最高水準の作品集"は偽りなく、寡作な現代最高峰のSF作家による9編の短編からなる。中編ともいえる(約150頁)「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」はSFマガジン掲載時に既読。再読しても惹き込まれる佳作。これを真ん中に、短いものから100頁ほどのものまで、時間もの、量子論的分岐宇宙もの、AIもの。テクノロジーやサイエンスで変化するヒトの在り様を、個人としての物語だったり、お伽噺の設定を使ったり描くもの、生命自体がいかにエレガントなものかを特異な設定で現わしたもの(「息吹」)、どれも高度な思弁が小説として感情を揺さぶるかたちで成立してるのが奇跡的。「オムロファス」なんて、なかなか書ける話じゃないと思う。これら素晴らしい短編を、日本語で読める幸せ。
11
腹部MRI検査の日。結果解説は12月はじめのかかりつけ医受診までお預け。気になるー。
10
慰留試みた開発のキーマン、結局退職意志変わらずのメール連絡を、朝、福岡から東京に戻ってオフィスへ移動中の電車内で受け、会社着くなり各所へ報告・事後策の相談を始める。こういうのも機会に変えんとやっとられん。
09
朝起きてネパールレシピでキーマカレーを作り、タイ米を炊いて、作り置いてた2品と並べて美味しくいただく。昨日は快晴だったけど、昨夜から崩れた天候は今日も不順。引き籠もって信長の野望新生PKを一乗谷での武田家決戦で締めくくり征夷大将軍就任で終わらせる。レコードを聴いてすごす日曜日って、ホント贅沢。
「婦人画報 12月号増刊」。婦人画報が平沢進特集組むってんで界隈をざわつかせたやつ。表紙に和装にEVOの平沢師。特集は12ページほどで、大黒達也氏とのAIに関する対談がメイン。面白い。編集部にどうしてもやりたい人が居たんだろうなあ。あとスイーツ特集が組まれてて、それも面白かった。愉しいな婦人画報。また平沢師載ったら買います。
08
7日午後イチにあった取引先との重めの会議が終わったあと部屋貸してくださいと言われたので、予定変更して早めにオフィス出て福岡移動。機内で思い立って福岡の人に連絡、今日の昼ご飯、前々から言ってたうどん食べに行こう...ってことで、今日のランチは博多駅地下の”大地のうどん”かき揚げぶっかけうどん。サクサクで軽い巨大かき揚げ、麺は福岡らしくコシないけどツルツルしてて、めちゃ美味かった。並んで行った甲斐あった。
夜になって、夜の来客がネパールに住んでたことあるって聞いてたんで、自作ダルバートが正解かを評価してもらおうと、ムングダルのダールと茄子のアチャールを作る。味見してもらったところ、「懐かしー味です!」って感想いただく。明日はキーマカレーとご飯炊いて、自作ダルバートをテーブルに並べる予定。
06
降圧薬を処方してもらってるかかりつけのクリニックで定期受診。今年3月の人間ドックで要観察になってた肝機能検査のための採血した結果を聞く。さらに悪化してて、数値はどの項目も基準値超え。酒も殆ど飲まないし、サプリメント飲んでるわけでもなく、自己免疫疾患でもなさそう...(ウイルス性肝炎もないし)ってことで原因不明。MRIやることになった。来週にアポ。うーむ。検査値スクショを見せてGeminiに色々訊いてみる。AI、賢いし、おもろいなあ。
04
退職届を出してきた開発キーマンの慰留会食。渾身のオファーだったけど、響いたかどうか。本人のことを考えると、その転職は筋が悪すぎると思うんだけど...。(転職エージェントしか得しないヤツ) あとは本人に任せるのみ。
03
「書架の探偵」ジーン・ウルフ(酒井昭伸 訳)
原題「A Borrowed Man」(直訳すれば"貸し出された男"かな)、2015年刊で邦訳2017年。世界人口が10億人まで減った今から百年以上経ったのちの世界、紙の本はほぼ無くなり(もしも必要ならデータから自宅で印刷)、当時の作家たちは複製(クローン)されて図書館に所蔵されてる...なかのミステリ作家クローンが主人公。もう殆ど貸し出されることもない主人公を借り出す女性が現れ、自著のとある小説本に隠された秘密を解明してほしいと言う。84歳のウルフのミステリ小説は、変わった設定と含蓄ある修辞の妙で小説を読む愉しさを味わえる佳作。不思議だけどディテールに凝った世界観がある中での、丁寧な本格ミステリ構造。張り巡らされた伏線が最後にするする回収されていくカタルシスというより、数々のミスリードの中から本筋を見出す古畑任三郎風というかw 文庫になってるみたいですね
02
神保町に出動。神田古本まつり。多分3時間ちかくかけて一通り見て回り、今回は早川海外SFノヴェルズの出物がないか釣って廻った。そっちは収穫6冊(隠れてた「いさましいチビのトースター」が嬉しい)、引っ越しで見当たらなくなってしまった「ハイペリオン」単行本もお安く入手。文庫で読んだグラック「シルトの岸辺」も集英社版(昭和49年初版)を見つけた。「古代中国の性生活」、「日本架空伝承人名事典」とか、拾わないと勿体ない。「マオ(上)(下)」、足穂の「ライト兄弟に始まる」、中原昌也「作業日誌2004-2007」に文庫数冊など。国書刊行会トート持ってったら余裕と思ってたんだけど、溢れそうになってしまった。 「奇想天外」がまとまって出てたりとか、品揃えに変化を感じ、嗚呼その世代が逝き始めたんかなーなどと感慨。値段の変化も感じるし、結構若い人も増えてる気がした(新刊って高いよね)。

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