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Next Month08 '17
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「横浜駅SF 全国版」柞刈湯葉
続編。前作登場人物達の過去譚を連作形式(各話完結)で綴る。"横浜駅"や"アンドロイド"達の出自、主要人物・脇役の相関図など、背景が徐々に明らかになってくのはシリーズものの愉しさ。前作書いてるときにここまで考えてたのか、シリーズ化して膨らんできたのか、「あとがき」でweb小説の構造を一寸匂わせそこまで含ませてのメタフィクション化してる感じも巧いじゃないですか。

アパートメントのすぐ近所(ゲーテ大学の新校舎工事現場)で、第二次大戦中の爆撃で英空軍が落とした不発弾が発見されたらしく(これまでで最大級らしい)、日曜日の朝から終日の避難指示が出てる模様。結構大きなニュースになってます(私も記事の避難対象6万人の一人)。
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「横浜駅SF」柞刈湯葉
カクヨム(カドカワ主催のweb小説サイト)の第一回コンテストSF部門受賞作だそうで。なるほど、ディスプレイスクロール読みの密度かも。ナノテクで暴走した横浜駅管理システムで覆われてしまった本州の中で繰り広げられる冒険譚。ありがちな登場人物(外で育った主人公、子供型アンドロイド、ハッカー女子、サイコパス技術屋)、"Suica"や"エキナカ"など固有名詞を使った仕掛け...折角の旧国鉄・私鉄入り混じった列島縦断鉄道インフラをネタにしてるのに、なんか大雑把なんだよなあ。著者は生物学の人らしく、真面目にネタ使ってるところは少しかわいい。
27
「寄港地のない船」ブライアン・オールディス(中村融 訳)
2015年に邦訳出された、先日亡くなった英国SFの長老オールディスの初長編。原題「Non-Stop」、1958年作。子供のころ読んだハインラインの「宇宙の孤児」の系統になる"世代宇宙船"モノ(こういう言い方があるのを訳者解説で知った)なんだけど、英国SFだけあって、天才的なヒーローが出てくるでもなく、文化人類学的な考察が巧みに取り入れられた社会学SFになってるところが、ジュブナイル的冒険モノにならず、古典としての風格を持たせている。巨匠とはいえ初長編ということで、視点の転換が不自然だったり、脈絡に不整合もあるけど、何とも言えないラストまで一気に読ませるストーリーテラーぶりは圧倒的。しかし「梅田地下オデッセイ」の構想との類似は、言われてみれば確かにそうだなあ。
26
昨日は出社したものの、みるみる熱が上がってる感じで頭も体もきつくなり、2時間ほどで早退。疲労か心労か、悪夢に苛まれつつ滾々と...今朝まで寝たら、なんとか熱は下がったみたい。

「禅銃」バリントン・J・ベイリー(酒井昭伸 訳)
短編でなく、がっつりベイリーを堪能したくなってカバー刷新(かつハヤカワのやや高文庫サイズ...)で再購入(昔のカバーも嫌いではないが)。遠未来の汎銀河帝国は知性化された動物が二級市民として人類と共存している...という逆オーウェル的設定に、"小姓"と呼ばれるジェダイ的超戦士、そして斥力で古典的物理学を反転させた"後退理論"...トンでも設定や理論が次々と出てくる300ページ超(作者による「後退理論」解説付き)。荒唐無稽な風で、最近何かと話題の"多様性"の話に繋がったりして...ってところも、ついニヤリとして読んでました。
23
大きな訃報が続く...ジョン・アバークロンビーが亡くなったとのこと。72歳。2008年にトロントジャズフェスで観た時の写真を眺めながら、「Gateway」を聴く。
22
ミュンヘン→ケルンの出張移動の間に寄ってくれた知財部の二人と、明日の会合のため出張してきたイタリア支店のASc、経理のM氏と晩飯は、カイザー通りでオーストラリア料理。宿への帰り道で、やばい経路を通ってしまい、知財部の若手女子社員に悪いことをしてしまった。
21

Brian Wilson Aldiss
August 18, 1925 - August 19, 2017 (92)



オールディス死去、92歳。亡くなったのは19日だそうです。

[公式サイト][wikipedia][ISFDB]
20
フランクフルト帰宅。復路便機内では、久しぶりに映画を観る。「Going in Style」と「John Wick Chapter 2」。
18
長女と新宿へ出掛けて、お茶漬け屋さんで昼ご飯、珈琲飲んで、東急ハンズで文具の買い物。その後、彼女は帰宅、私は紀伊国屋本店へ行ってSF研の同期Y、後輩Sと待ち合わせ居酒屋→ゴールデン街の80年代バー。「なぜニーヴン(ノウンスペースシリーズ)は復刊されないのか?鶴田謙二にカバー描かせれば売れる!」早川の新訳復刊ビジネス、次はゼラズニイか?」など、オジサン達とともに黄昏ていくであろうSFの将来を憂い、トレヴァー・ホーン・バンドの映像でひとしきり盛り上がった後、インディーズパンク、テクノの各御三家を聴く。
17
先週夏休みに入り、今週から大学の研究室に手伝いに行きだして毎日の実験を愉しみに通学していた長女だけど、今日お盆休み明けの教授出勤から帰り間際に「明日からは遠慮して」と言われ、落ち込んで帰宅。久しぶりに時間を取って親子の会話。

「ゴッド・ガン」バリントン・J・ベイリー(大森望、中村融 訳)
ベイリーの日本独自編纂短編集、2016年初版刊行...今ベイリーですか!ってな感じでその界隈では話題になりました。90年代までのキャリア全体を網羅してて、作風の変遷が俯瞰できるのが面白い。表題作は「シティ5...」にも入りそうな一発ネタバカSFでイメージ通り...に対して風変わりな(つかムアコック風)ファンタジー「災厄の船」、ディックっぽさすら感じる陰鬱な「死の船」、最後の「死の種」なんかを読むと、"ニューウェーブ"の影響が感じられて意外。一番好みは、コメディ風だが何気に奥深い「蟹は試してみなきゃいけない」。
16
「榎本武揚」安部公房
1973年初版、90年改版発行。北海道沿岸の寒村の地元アマチュア歴史家が、戊辰戦争期の土方歳三に同行して函館戦争まで転戦した末期新撰組隊員による榎本武揚暗殺計画の手稿を発掘、それを著者が俯瞰するというメタフィクション手法な歴史小説。アマチュア歴史家が戦時に憲兵隊であったという事実に加え、転向者として知られる榎本を旧体制側からこれを指弾する土方を中心にかぶりながら話が進むことで、共産党を除名された安部自身の反映、さらに70年代前半ならではの雰囲気をも感じさせる。榎本に語らせる端的な幕末維新史観も面白いが、むしろ土方に「あんがい僕など、誰よりも侍を嫌っておったのかもしれぬ」と語らせるところが真骨頂か。戯曲化もされたというが(91年が最後?)、見てみたい気がする。
15
Fire TV Stickを今回の帰省に合わせて買ったので、昨日早速TVに繋いで(設定簡単)、「Documental(1)(2)」、「宇宙の仕事」を観てすごす。何れもそれほど面白くはなく。
14
成田着13時過ぎ、新宿着は15時、京王百貨店3Fの紅茶店で提携先のH女史と会う。先週月曜日の競合大手による買収についての意見交換。互いの社内の様子など、ぶっちゃけ話を2時間弱。その後彼女は京王線(先週から一時帰国中)、私は小田急線に別れ、帰宅18時前。家族はドラクエ中でした。
13
10日の朝1時間だけ出社し一度荷物取りに戻って空港へ。バーミンガムに飛んで、一年ぶりのフェアポート・クロプレディー・コンベンション。英国営業PJ氏が空港まで迎えに来てくれて、バンベリーまで移動、宿に入って直ぐに会場へ。PJの家族が既に陣取ってるところを何とか見つけて(総勢2万人ですから)合流。「やあ、久しぶりー。」 初日は、トレバー・ホーン・バンドでロル・クリーム(「Rubber bullet」を往年のハイトーンボイスで)観れたので満足。「ラジオスターの悲劇」も演奏ってくれたしね。トリのディヴァイン・コメディーが終わったのはほぼ0時。翌日は、英国の代理店候補とビジネスミーティング後、フィールドへ。この日はトリのリチャード・トンプソンに尽きますわ。前半アコースティックソロ、後半バンドで現フェアポートがバックに付く構成。ギターの切れと、あの声(とあの帽子)。サイケデリックなギターソロは圧巻で、「来てよかった」と実感。やや興奮気味で寝付くのが遅くなる(終演はやはり0時過ぎ)。三日目(12日)は、まずアシュレー・ハッチングスとジョン・カークパトリック(!)、デイヴ・マッタクス登場し、踊り手も入って「Morris On」を演奏するという夢のような趣向でスタート。もちろん、ギターはリチャード・トンプソン+サイモン・ニコル(フィドルはリック・サンダース)。次はジュディ・ダイブル・バンド、往年の声の張りは流石にないが「風に語りて」が聴けた。その後プログ系ラインアップが続き(マリリオンも登場...流石の演奏だけど好みじゃないのよね)、ドギー・マクリーンの弾き語り後、大トリのフェアポート・コンベンション。今年はバンド結成50周年、ハッチングス、トンプソン、ニコル、マッタックス、ペッグ、ダイブルの初期フェアポート再びで、往年の名曲。サンディー・デニーや昨年亡くなったデイヴ・スワーブリックへの追悼の言葉や思い出も交え、今のフェアポート・メンバーも入れ替わりのほぼ2時間半。「Meet on the ledge」で大団円。多幸感に包まれつつ、PJ家族面々とハグして別れ宿へ戻ったのは1時前。
朝6時起床し、PJの運転でバーミンガム空港へ。フランクフルト着11時半、帰宅後シャワー浴びて荷造り、夕方空港に戻り帰国の途へ。
09
袋小路の件、力技でまとめてしまう。
07
提携先が業界大手に買収?身売り?してしまったというニュースを昼食後うちの社員から聞かされるという体たらく。
06
午前中まで引き続き部屋の片づけ。昼飯にでかき揚げのせ味噌担々麺と餃子喰って帰ってきたあと安斎肇監督作「変態だ」鑑賞。コメンタリーも合わせて2回観てしまった。ロックでポルノで...70年代か!つう還暦過ぎたオジサンのノスタルジア溢れる一本でした。みうらじゅん絡みなんでもっとグダグダな感じかと思ってたら、なかなかどうして、無駄ない映像とストーリー展開、俳優の演技も(主役の前野健太は初俳優)自然で全てが好い塩梅。結局「変態だ」の意味は分からなかったけど。しかし白石茉莉奈の登場シーンのエロさといったら...。

晩飯は再び匠で鶏照り焼きのせキーマカレー。ストレス解消の過食か?
05
気分転換に部屋・本棚の整理をする。
04
ほぼ最終段階だった某交渉が部下の不注意な電子メール交信で袋小路に。本人は状況全く理解していない様子なんだけど、こういう時に気持ちというか怒りの持って行き場がなくて、私の心も袋小路。
02
ロンドン日帰り出張。BAの機内サービス、コーヒーも水も有料なのね...フランクフルトはチケット発券機使えなくて長蛇の列だし、機材も老朽、完全に負け組ですなあ。ヒースロー空港のラウンジが使えるからと言って、こんな有様ではもう二度と使わないわ。
01
「あしたは戦争 - 巨匠たちの想像力 戦時体制」日本SF作家クラブ
2016年1月初版第一刷の名作アンソロジー。小松左京に始まり、山野浩一、筒井康隆、海野十三、 江戸川乱歩(!)今日泊亜蘭、辻真先、荒巻義雄、星新一に手塚治虫まで収録という、大戦・戦後体験世代のブラックな警鐘、政権世相が右傾化する今だからこそ..な重鎮10中短編。そんな中、能天気な海野十三の空想科学戦争モノ(1940年)のあとに乱歩の「芋虫」(1929年)のコントラストがえぐい。「東海道戦争」(1965年)の描くマスメディアの姿なんて、まったく今の状況ままで、先見なのか当時から何ら成長していないのか。

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