31

「火星の白蛇伝説
- 星界伝奇」川又千秋
2017年1月刊の最新作。古典的スペースオペラ×中国伝奇小説な連作モノ。一昔前のゲーム小説っぽくもあり。
ジャック・ヴァンスが再発見されてる昨今なので、これも何巡目かで新しいのか...?
30

"映画"を観たくてほぼ一年前に亡くなったキアロスタミ監督「トスカーナの贋作」。原題は"Copie
Confrome"。とにかくジュリエット・ビノシュが凄過ぎ...現実と虚構が綯交ぜになるストーリーが、彼女によって恰も眼の前で二人を追っているような実存感。オペラ歌手で初俳優となるウィリアム・シメルの起用もハマっていて、唐突な話の展開後も、ある種の違和感を自然に醸していて絶妙。一歩間違えばサイコ話なんだけど、"髭を一日おきに剃る"話をカフェで男性側にしてたかどうかで、話は180度変わる気がする...。鏡、硝子、窓を使ったフレームと光の演出も見事で、久しぶりに"映画"を堪能した。
29

何をするでもなく無為に過ごす土曜日、
ギブスン短編の映画化を観たくなって買った「ニューローズ・ホテル」を観る。天野義孝、坂本龍一、ウィリアム・デフォー、クリストファー・ウォーケン、ジョン・ルーリーつう豪華面子が何れも黒歴史にしてしまうような、なかなかここまで酷い映画も無い。悲しいなあ。
24

「伊藤計劃トリビュート2」早川書房編集部・篇
前回とは異なり新人作家中心の第二巻。伊藤計劃とは何だったのか?の考察相変わらず甘いんじゃないの...と編者(塩澤氏)に申し上げたい。なんでも託ければよいというものではないよ。"お話"じゃダメで、呪詛のようなモノが無ければ。クメール・ルージュ革命前夜を描く小川哲の「ゲームの王国」が未完にも関わらず題材が題材だけに最も近い(SF要素はない)。話題の「最後にして最初のアイドル」は、無理やりな感じ...むしろソウヤーに近い印象。
フランクフルトに帰宅。
23

「一外交官の見た明治維新(下)」アーネスト・サトウ(坂田精一
訳)
大政奉還に至る最幕末期から、戊辰戦争、函館戦争の終結頃まで。一外交官からみて倒幕の過程はどう見えていたのか...一番読みたかったところですな。諸外国と幕府(慶喜/江戸)側、薩長土の倒幕側がともに英国を軸にした外国勢力との関係構築に奔走する姿が面白い。諸大名の海外勢力との独自の関係構築の動きも描かれていて、二元論的政治勢力対立とは違う動きがあったことが判る。
読み物として面白いというものではないので、この辺の話を小説か大河ドラマ化すると面白いのに...と思います。下巻最初に書かれている七尾から大阪までの旅路はいつか歩いてみたい。
21
2日間の会議終了。昨晩はWのデトックス呑み。今日は、まっすぐ帰宅。
山野浩一氏の訃報をtwitterで知る。
19
S氏、米国駐在N氏とシビアな事業状況をネタに晩酌。
18
高校の同級生と卒業以来の再開、晩飯。フェイスブックのお蔭だが、投稿で見てるのとは違い、かなりシビアな仕事状況...という話で似た境遇を語る3時間。
17
15
出張帰国。帰宅16時前。録り溜まっていたタモリ倶楽部を一気鑑賞。かみさんが"好きそうだから"と録っててくれた「
メイドインアビス」、面白そう。
13
10日(月曜日)は独仏代理店呼んで会議、11日夕方に日本から出張で来た監査役を出迎え、12日は終日監査ミーティングからの夜会食。今日は、日帰りでミランドーラ出張。某プロジェクトの撤収は順調に決着しそう。

「遠隔機動歩兵
- ティン・メン」クリストファー・ゴールデン(山田和子 訳)
近未来ミリタリーSF...といっても、世界経済の凋落、格差とテロ・地域紛争...と、似非"虐殺器官"的な世界秩序崩壊モノ。ヴィースバーデンが舞台だったりするところも身近だし、丁度ハンブルグでG20...読むなら今此処でって感じ。テンポよく、一気に読めたけど、奥深さは無いかなあ。
09

「クローム襲撃」ウィリアム・ギブスン(浅倉久志・他
訳)
不発っぽい(未見)ハリウッド版「Ghost in the
Shell」の記事なんかを見ていて、初期サイバーパンクを再発見したくて読み直す、ギブスンの初期短編集。81年から86年までの主要短編10本を収録。ハヤカワ文庫70周年の2015年第13刷。電脳、ネット、サイバネティクスはもう一般化してしまった昨今ですが、"フロッピーディスク"なんて言葉がむしろ新鮮に見えるところに一周したなあ...なんて感じる今日、"サイバーパンク"の発明よりもSF小説の語彙と文体を革新したところに、ビートとの繋がりを論考する向きも理解できる。
08

「明治維新と幕臣」門松秀樹
2014年刊、副題"「ノンキャリア」の底力"。徳川幕府のガバナンス/官僚組織の成り立ちと推移から幕末の近代化志向、維新政変の経緯、そして本題の"旗本"以下幕府ノンキャリアの維新/明治政府への移行は函館府を例に分析...という全224頁で知りたかったことが整然と総括されてて、気持ちよかったですよ。実際には旧幕公務員達が新政府の中で働くには、多々アンフェアなことがあっただろうと思うんだけど...(「
ある明治人の記録」)。今日にいたる官僚依存の政治構造は、徳川幕府中期にルーツがあるっていうのは自分の想像を超えてました。"明治維新"なるものの見方が変わりますね。
06
4日(火曜日)はハンブルグ日帰り出張に続いて、5日から一泊でスペインはビルバオ出張してプロジェクト最後の会議。教授の家に招かれ美味い食事とワイン、翌日は全員(教授入れて6人)で軽く山歩き...
3時間28分、10.34km、消費1,588kcal。フランクフルト戻りのフライトは雷嵐で着陸できず、到着1時間半遅れ。
03

「戦争の条件」藤原帰一
雑誌連載の講義(?:2011-12年)をまとめたものらしい、最近TVで(って私はYoutubeで..ですが)よく見る
三浦瑠璃女史の師による国際政治試論。フランス革命とナショナリズムの件は目から鱗。確かにねえ。短い本だけど、端的に近代国家の成り立ちを解説するところなど気持ちが好い。国境とは紛争の爪痕という認識を新たにしたりも。あとがきのブックガイドに興味深そうなものが何冊かあるので、ちょっとチェックしてみよう(同じ著者による「
デモクラシーの帝国」とか)...とは思うが、積読をもう少し減らさねば。
02
01

雨。談志の落語をYoutubeで見たりの自堕落な一日。アーネスト・サトウ(坂田精一
訳)の「一外交官の見た明治維新(上)」をようやく読了。かなり詳細に自身の経験を記述しており、当時の世相や諸国の外交の権謀術数ぶりが垣間見れて、面白い。今まで読んできた幕末/維新モノの裏付けや、その中では大雑把な扱いだった外交面の実際が判るんで、国内史の研究とは違う視点で俯瞰できる。上巻は慶喜体制に移ったところ辺りまで、明治維新は下巻。
