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「SF街道二人旅」堀晃・かんべむさし
1981年徳間書店初出の堀氏かんべ氏のエッセイ、短編集、1986年文庫版。
この間、町田の古本屋で入手したもの。ヤケありで美本とは言えないが1,000円也。「バビロニア・ウェーブ」前30代後半の両氏の自選アンソロジーに対談で構成という趣向で、こういう形態はほかに見たことない。二人の語るSF論部分は、1.5世代ならでは...自分が現役SF読者だった時代なので、当時の雰囲気は良く分かる一方、SF映像隆盛期ずっぽし我が世代とのギャップも感じるなあ。収録短編(特に堀氏)も佳作が並ぶ...この宇宙の寂寞感。いや、米版古本ペーパーバックの紹介という体(?)の「エッセンシャルSF」が個人的ツボ。
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「文藝別冊
- 【総特集】望月三起也」
届いたー。生誕80周年&「ワイルド7」50周年。表紙カッコいー。カラー頁(「俺の新選組」見開き)にデビュー作+未発表短編も!例によっての漫画家寄稿、まずは秋本治。しかし寺田克也、わかってるねー。上野顕太郎「惰性の七人」のオチに爆笑。南信長の評論「腹が減っては戦ができぬ」もよい(この視点はなかったわー)。御家族インタビューで、志乃ベェのモデルがお嬢さんだったと知る。「ワイルド7」あっての今の自分なところは間違いなくあると再確認。男の美学=飛葉ちゃん...特に「谷間のユリは...」の、ですよ。
家の書籍、実家に全部送っちゃおうと思ってたけど、「ワイルド7」は発掘しとかなきゃ。でもどの箱に入ってるのか...。
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「銀河英雄伝説
5 - 風雲篇」田中芳樹
ヤン対ラインハルトの雌雄対決、そしてシリーズ前半の幕が下りる。頁を捲るのももどかしい展開。膨大な物量と人員を破壊し消耗した戦闘のあと語り合う二傑の会話の中に、作者が戦史の背後に描いているテーマが凝縮され、大団円。てことで、ここで一度休憩。
前半終結にしては、この巻の星野之宣カバーは物足りず。村田蓮爾の表紙を妄想。一部キャラのイメージがラストエグザイルと被ってるから?村田版の設定集なんか見てみたいわあ。
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「銀河英雄伝説
4 - 策謀篇」田中芳樹
お蔭さまで通勤電車が辛くない。前巻で主筋と並行して進行していた謀略が、本巻でメインに描かれる。ついに帝国側が銀河統一に動き出し、一方でヤン・ウェンリーの腹心ユリアン少年が歴史の表舞台に上がる。ときに諧謔も垣間見せる格調ある叙述は流石。場面転換もテンポよく、さくさく読める一方で物足りなさは感じない(5世紀にわたる銀河帝国史のエピソードが挿入されるため、ただ筋を読まされているのではなく、歴史を目撃してる感覚になれるところが巧い)。
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「銀河英雄伝説
3 - 雌伏篇」田中芳樹
夜更かしは続くよ。3巻目は、同盟側が主な舞台。腐敗する共和国政府、翻弄されるヤン・ウェンリー、帝国の秘密兵器...クライマックスは両軍の衝突。しかし、与党首班の堕落ぶりが極東のどこぞの国にあまりに似ていて、もはや笑うしかないというか(質問状に対する政府スポークスマンの回答が「回答の必要を認めず」のみ...とか)。太郎さんも晋三さんも義偉さんも一度"銀英伝"読んでみたらいいよ。
第三の勢力とその黒幕も、いよいよ舞台の中心に登場する。"宗教"が新たな因子になってさらなる史観の広がりを見せるか。
長女、福岡で受けた登録販売者試験に合格。
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「銀河英雄伝説
2 - 野望篇」田中芳樹
読みだしたら止まらない。本篇は帝国/自由惑星同盟それぞれの内戦が舞台。権謀術数、帝国の腐敗と終焉、軍国主義の台頭...。そして全10巻の2巻目にしてこの悲劇。真にオペラ的展開。
巻末の解説は大森望。やっぱり巧いなあ。中国で銀英伝がバイブルになってるなんて話、もともと「幻影城」に掲載予定だったとか、これだけでも読みごたえがある(笑)。
横田順彌史の訃報。1月4日にお亡くなりになっていたらしい。
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「銀河英雄伝説
1 - 黎明篇」田中芳樹
ついに手を出した和製スペースオペラの著名シリーズ、
東京創元社の全巻セットが星野之宣カバーで出た機会に入手していたんだけど(オリジナルのスタートは1983年徳間ノベルズから)、帰国したので腰を据えて。この第一巻は、昨年始まった
新版アニメシリーズ(Die
Neue These)に該当。アニメで見てたので、さくさくと読める。歴史絵巻的なスピード感あるストーリー展開で、巻末の鏡明氏の解説にもあるように、
佐藤大輔あたりの架空戦史モノに影響してるんだろうと思う。35年経って、結果的に今日的というあたりも、単なる物語ではなくて、作者の普遍的な人類史観の魅力なんだなあ。
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「SFロボット学入門」石原藤夫
このあいだ町田で買った古本の中の1冊。今読んでみるとどんな感じかなーと思ったので。もとは1970年にSFマガジンで掲載された連載を一度書籍化、1980年に文庫化したもの。宮武一貴氏の表紙絵も有名。初出が50年近く前なので、流石に現在の目からすれば内容は旧いが、むしろ50年経ってここに書かれてることが現実化されてるとも言えるところがあり、70年代に考えていた未来とは?という観点で読むと面白い。ナノマシンも出てこないし、インターネット..現在の情報技術も無記述。"ロボット"自体は既にSFのアジェンダですらないが、今このタイトルで書いてみると、どんな章建て、内容になるのかな...と夢想してみるのも一興。自分でちょっとやってみようかなとも思っている。
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「黄色い雨」フリオ・リャマサーレス(木村榮一
訳)
スペイン作家の表題作長編に、短編2本を追加した河出文庫版。昨年から少しずつ読んできて、9日から出たフランクフルト出張の往路機内で読了。無人化が進むピレネーにある山村(実在するらしい)に最後まで住んでいた老人の回想と最期。朽ちていく生活の痕跡、うつろう季節と年月、死の記憶、そして自らの死と自然。作者の自然・情景の描写が一人称で語られる主人公の心象と混然となる叙述を、言語の違いを意識させず読ませてくれる翻訳もまた素晴らしい。繰り返し読みたくなる本です。
帰国後2週間半ぶりにフランクフルト事務所に出張、もう自分の居場所じゃないな...という感じ。ようやく転勤を実感。2泊3日、東京に戻る復路は、往路と同じキャビンクルー。家族へのお土産は大量のグミ。
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「2001:キューブリック クラーク」マイケル・ベンソン(添野和生
監修)
2018年4月に米国で出た原著を年内に間に合わせるべく、翻訳(中村融、内田昌之、小野田和子の三氏)、監修、刊行した早川書房に感謝。前1/3はクラークとキューブリックのコラボ、後半までは映画製作の過程を、そして公開まで...「2001年」のほぼ全てを余すことなく纏めたメイキング本決定版。
ドイツ映画博物館の展示(スターチャイルド!)、そこで購入したハリー・ラングの図版などとあわせて、個人的にも公開50周年の〆に相応しい。特に制作過程については技術的説明など情報量多く、腰を据える必要あり。つか、実際の映画映像とあわせて検証するドキュメンタリー番組みたいなものが欲しい。
レノンでも店主氏と同じような話で盛り上がったんだけど(その時はビニール盤の話)、アナログの価値、"光"との格闘(イノベーション)、投資の規模とそれだからこそ得られたアートの普遍性みたいなもの...がひしと伝わってきて胸熱くなる。欲を言えば、60年代半ばの時代背景についての言及がもう少しあれば(ハルバースタムのような)さらに深く読めたかな...と感じるが、著者の趣旨とは外れるか。
長女の用事に合わせて一緒に町田まで。Yが薦める
高原書店で購入4冊。全体的に少し価格高め。
04
2日から4日まで福岡に単身帰省。3日は、大学時代の友人Y、Sと晩メシから
レノン。
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