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船便到着で午前は休みを取って荷物(49箱)受け取り整理。大量の未読書籍の段ボールがリビングの周囲を埋める。
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- ゲームSF傑作選」D.H.ウィルソン&J.J.アダムズ編(中原尚哉、古澤嘉通 訳)
ほぼ2015年作(書き下ろし?)の12短編(2004年、2007年作もそれぞれ一篇ずつ)からなる、ゲームを題材にしたアンソロジー。日本からは冒頭に"All
You
Need.."の桜坂洋が、そして〆はケン・リュウ。その他アンディ・ウィアーやチャールズ・ユウなど長編翻訳でも既に知名度のある作家も。ビデオゲーム、VRモノ、MORPGだけじゃなくて、テキストアドベンチャーなんかも出てくるのが楽しい。それこそゲームプレイの感覚そのままのものもあれば、ミステリ、時間モノから社会ネタまで、でも日本で同じアンソロジー組めばもっと濃くなりそう。まあ、
日本には究極のゲームSFがあるしなあ。カバー画(
緒賀岳志)、最高っす。
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「東慶寺花だより」井上ひさし
14日早朝初の深夜便でロンドン経由ブラッセル→ブルージュ→ブラッセル→リエージュ→フランクフルトの出張、帰国便機内爆睡。の旅程の中で読み終わった井上ひさしの江戸鎌倉駆け込み寺歳時記。この間かみさんがFire
TVで観てた「駆け込み女と駆け出し男」を横で見ていて面白かったので。梅に始まり藪椿に終わる15の掌編。医師見習いで滑稽本作家、現在は駆け込み寺宿の居候で副番頭...という主人公は映画も同じだが、大きな筋はなく(戸田恵梨香の出番はない)、原作は季節の移ろう鎌倉と15の駆け込み噺を粛と描く。映画は随分大胆に書き換えた脚本で、随分と巧い再編だなあ...と感心した。文字で読む原作も好い。鎌倉まで歩いて行ってみたくなる。
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「銀河英雄伝説10 落日篇」田中芳樹
正伝最終巻。皇帝の最後の戦いは寂寞とともに中断を余儀なくされる。そして伝説は幕を閉じ、そのもとで戦った人々によって新たな歴史が始まる。という大団円だが、特に燻ってきた地球教団ネタは拙速に片付けられ、そうなると8巻の悲劇はなんだったのよ...と釈然としない後味。今日は一日偏頭痛続きだったこともあって、独特の過剰な修辞文体が特に鬱陶しく、10巻は長かった...と読後は疲労と開放感。思えば2巻がクライマックスだったかも。自分のスペオペ叙事詩としての好みは「銀河帝国の興亡」だし「ハイペリオン・シリーズ」だな。
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「銀河英雄伝説9 回天篇」田中芳樹
新帝国の予感された内乱を描く第9巻。名将の激闘と結末は、涙を誘う(好きなのよ、男達の別れ)。後半前巻までの迂遠さはさほど気にならず、刻々と動く謀略と戦場の描写(時分とともに状況を描写するシステムが効果的)がテンポよい。それぞれの展開は無理なところもあって、ドラマ演出のために作者に翻弄される登場人物たちが哀れに思えたりも(苦笑)。
不要家具や家電の整理に粗大ごみ回収業者を呼ぶが、結構な出費となる。ボラレた感あるが、市の収集も面倒くさいしなあ。
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「銀河英雄伝説8 乱離篇」田中芳樹
ヤンとラインハルトは、不落の要塞戦で再びぶつかり合う。激闘は、名将を屠りながら意表を突く結末を迎える...。といいつつ、前巻から仄めかされ続けてきた悲劇は、意外ではない。好みの問題とは言え、修辞的な字句の羅列と歴史書風のもってまわった書きぶり(曰く「後世の...」云々)が、緊張感を損なっている気もする。正伝残り2巻で、前半を越える大団円を迎えることができるだろうか。
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「銀河英雄伝説7 怒涛篇」田中芳樹
フルメンバーが揃ったヤンが動き、ラインハルトも老将率いる同盟国軍との会戦へ。そして末期の民主主義国家は終焉を迎える。最後に仄めかされる陰謀が、伝説後半の波乱を予想させ...。さくさく読めるんだけど、著者の興にのったレトリックに前巻あたりから飽きてきて、ちょっと面倒くさくなってきた。歴史書の体でオシてくるところも少々やり過ぎな気が。
朝から水便。モノ食べれず、飲んだら飲んだまま...ってレベル。午後から微熱も出てきて、夜のウェブ会議はキャンセルし、夕方に帰宅、家近所のクリニックでウィルス性腸炎の診断を頂く。
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「銀河英雄伝説6
飛翔篇」田中芳樹
さて後半戦。地球へ向かったユリアン少年は暗躍する教団に潜入、一方で退役したヤン・ウエンリーは占領下の首都での争乱の只中に。前巻で仄めかされていたとおり、皇帝暗殺劇も起こり、賑やかな第二幕。相変わらずテンポよく進む。
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「脳はなぜ「心」を作ったのか」
前野隆司
堀晃氏の日記を見て、 "意識受動仮説"とは何ぞや?と入手した一冊。副題"「私」の謎を解く受動意識仮設"、2010年の文庫版。
興味があったジェレミー・イングランドの記事なんかにも繋がって、ヒトは何処から来て...考察を与えてくれる名著。なにしろ分りやすいし、本篇(4章まで)終盤の跳躍(もはや意識の話でもなくなってくる)も愉しい。"意識"おは脳活動がエピソード記憶を獲得するための錯覚(ツール)に過ぎないという話は、とても納得がいくし、そこから拡がる宇宙の認識も面白い。さらに"主体とは錯覚に過ぎない"という認識は、いろんなものに広げられる筈。意を強くした次第。
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