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「逃亡テレメトリー」マーサ・ウェルズ(中原尚哉
訳)
マーダーボット・ダイアリー・シリーズの最新刊。最新中編の表題作(原題:Fugitive
Telemetry)に2018年、20年の短編2本を収録したもの。表題作は、自称"殺人ボット"という主人公アンドロイドが、第一作の顛末の末定住することになったプリザベーション連合(国家ですね)の首都(?)である宇宙ステーションで起こった殺人事件を捜査するという探偵モノ。ダイバーシティ進むプリザベーション連合ならではのストーリーで、巨大企業により形作られてる銀河社会という世界観も色濃く出てくる。軽快な現代版スペースオペラとはいえ、現代社会が向かっている未来を予感させるような世界観がやっぱり魅力なのよね。巻末の解説で、主人公が一人称で自分を呼ぶ"弊機"の原語は"I"で、中原氏の腕によるもの(本作で日本翻訳大賞を受けたらしい)だということを知る。
パンクした折りたたみ自転車のチューブ、
Tubolitoに問い合わせたところ、
HELIXに直接問い合わせて
とスペアパーツの注文リンクをもらった。月曜日にオーダーしたところ、今日早速届いた。自転車屋さんは今日はお休みということなので、修理依頼は連休明けかな。
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米国駐在時の同僚E君、T君と会社近くで焼肉喰ってる最中に宮崎の叔母から電話があり、父がまた接触事故を起こしたらしく、警察から呼び出され運転させないように厳しく注意された旨の報告。もともと週末帰るつもりだったことを伝え、免許返納を急ぎ進めることにする。兄弟に電話したり、帰省の旅程を確保したり。
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「オウムアムアは地球人を見たか」アヴィ・ローブ(松井信彦
訳)
原題「Extraterrestrial」、副題"The First Sign of Intelligent Life Beyond
Earth"。2021年刊で邦訳出たばかり。著名な天体物理学者によるオウムアムア(2017年に太陽系を通過した物体、当時もその特異な挙動と形状が話題になった)論。渡辺潤一氏の巻末解説で、現在は冥王星への天体衝突による窒素氷河欠片説で落ち着いているようだけど、本書で書かれている宇宙に知的文明が存在する/存在した/起こっているというビジョンは、違和感はないし、それを具体的に現実的に認識することによって人類が社会的進歩を遂げることができるという主張は、それに希望を持ちたいという心を揺さぶってくれる。後半のはじめに光瀬龍・堀晃氏の傑作シリーズを彷彿とさせるキーワードも出てきたり(日本SFの金字塔である件のシリーズは寂寞とした宇宙を感じさせるのに対して、ローブ氏のそれは探究のエネルギーに満ちているけど)、グレートフィルターという概念は人類史に対する時間の概念をもう一度思い起こすきっかけになった。大衆向けに入りやすく興味を持ちやすく、科学への支援を理解してもらうよう(SF読みとしては冗長に感じてしまうところもあるが)丁寧に書かれた啓蒙の書。
3月半ばにベーグル買いに行った先でパンクしてしまった折りたたみ自転車を、ようやく修理してもらいに近所のバイクショップへ。
オーストリア製のレアなスペックのチューブなので(24インチ)、注文先が見つからず、チューブは私が手配して交換をお願いすることに。
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「大日本帝国の銀河5」林譲治
シリーズ完結巻は、前巻までの(史実で言えば)太平洋戦争前夜の時期から、一気に300年の動乱の世界史を描く。テクノロジーが社会を如何に変容させるかのシミュレーションの前半、後半のオリオン集団と人類の静かな闘い、終盤のオリオン集団の謎解明...「三体」にもちょっと触れながら、終わってみればタイトル通り"大日本帝国の銀河"としか表しようのないエスエフになっていて、「星系出雲」シリーズもそうだったけど最終巻の畳み掛けハンパねーです。書き下ろしで連続刊行のこのスタイル、作者が書きたいことがどんどん変化していく様子に付き合っていくのは悪くないんだけど、アイデアが凝縮された一つの作品として創られれば、傑作が誕生するのではないかと、大河シリーズ2本のあと畢生の一作が生み出されるのに期待。
09
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「大日本帝国の銀河4」林譲治
オリオン集団が動く第四巻。
停滞した前巻から、鍵になる人物がいわば一新された感もあり、いよいよ米国も舞台に登場。世界情勢も大きく変わり、もはや史実とは全く異なる歴史が進む。IFモノの感触は若干残しつつ、作者ならではの、ファーストコンタクトを借りた社会と人の有り様の仮想実験モノになりつつある(オリオン太郎は作者の分身?)。次々と動く展開のテンポもよく、また面白くなってきた。終盤で舞台が宇宙に広がる布石が打たれ、最終巻でいったいどうまとまっていくのか、楽しみ。
4月に入り露軍がウクライナ北部から撤退、東部占領に集中する転進を図っている。撤退後に残る住民虐殺の痕、東部での戦火で亡くなり続ける市民。日々の凄惨なニュース。オリオン太郎が世界を変える話を読みながら、今回の戦争で世界はどう変わってしまうんだろう...と暗澹たる気持ちになってしまう。
04
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「モモ艦長の秘密基地1」鶴田謙二
コミック誌「楽園」で2017年から間歇連載している漫画の第一巻。連載が続いているということなので、まさかの第二巻が将来に出るかも、いや出て欲しい。「
ポム・プレゾニエール」のSF版という趣向な、アンニュイ裸女×猫×宇宙で成る連作かと思いきや、冷たい方程式なストーリー展開。オチまで描けるのか?忘れた頃に出るであろう第二巻を生暖かく待ちたい。
5月には画集も出るということです。秋にはその続刊(画集の)も企画中とか。
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