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「
東京ヒゴロ(3)」松本大洋
本を作る人、描く人とその家族、本を売る人、それ以外の人。漫画の話は漫画で描かれないとだし、こうやって描けるのが松本大洋なんだろうなあ...と、読み終わってしばし感慨にふける。最終話まで3巻目で終わると知らず、ああここで終わるんだ...ハッピイエンドではないんだろうな..と思ってた予想が奇麗に裏切られたなあ...。そんな感想。こういう形でちゃんと物語にするところに新しい松本大洋を感じた。
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先日実家に帰省して個人蔵書の整理をやってるときに出てきた作画グループ時代の「超人ロック」単行本、週刊少年キング愛読者だった高校時代を思い出し、作画グループ時代の復刊とかしてないのかしらとamazonチェックしてたら、2019年終わりに「超人ロックClassic」(上下)で出てるのを発見、あわせて2017年刊のアンソロジーも購入。そのアンソロジー「
超人ロック異聞」ですが、太田垣康夫、佐藤マコト、黒丸、大井昌和、鈴木小波、環望、大石まさる、やまむらはじめに聖悠紀。大石まさる狙いで買ったんだけど、どれも力入ってたり愛に満ちていて、楽しかった面白かった。大石まさる入魂のヒトこま(ロック肖像)には思わず笑う。黒丸の女子会・敵役会に記憶を辿りながら、他の諸氏作品も見事なオマージュ。この勢いで全巻セットとか買ってしまいそうで怖い。
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昼過ぎに神保町へ。神田古本まつり、ついでに神保町ブックフェス。買ってしまうのはやっぱり世界史関係。「ハプスブルク家の皇帝たち」、「ブルゴーニュ公国の大公たち」、「クリミア戦争」(上下)、いずれもほぼ新品。SF関係は、オーストリアの研究者によるアンソロジー「レムの宇宙カタログ」とデイヴィッド・ブリン「ポストマン」。後者は少しヤケとキズありだが前者は美本。帰る前にブックフェスをチェックして、工作舎で「縄文の地霊」(西宮紘)を購入。
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22日日曜日の朝早くに家を出て実家へ飛ぶ。この日は引き続き蔵書の整理。夕方ちょっとした初体験をして、翌日は年金事務所、実家の庭整理に植木屋さんと打ち合わせ、父が入っていた介護施設に書類を書いてもらって年金事務所に提出後、過去帖持ってお寺に行ったりバタバタ。夕方にリモート会議2件ののち、延岡までとりあえず移動し一泊。翌24日の朝に大分へ移動して工場出社。晩は、工場地区を統括する同僚F氏が気を利かせてくれて、たまたま出張してきてたH部長と大在にある馴染みの鮨屋でたらふく美味いもの食べさせてくれた。で、今日は午前中に東京に戻ってオフィスへ。実家関係はまだまだ落ち着きそうになくて、どうも集中力が維持できない今日この頃であることよ。
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「
血の畑」カレン・アームストロング(北條文緒/岩崎たまゑ
訳)
副題「宗教と暴力」、原題は「Fields of Blood; Religion and the History of
Violence」。2014年刊、邦訳は国書刊行会から2022年。今年に入ってから読み始め、数か月中断してたんだけど、イスラエルのガザ侵攻を目前に、読み切ってしまおうと思い立ち、今日一日読んでいた。世界宗教史。9.11を切欠に「宗教に暴力は内在するのだろうか?」と問い、起源からの宗教と国家と暴力の歴史を紐解く(なので、アニミズム的なものは対処になってない)。膨大な知識と網羅的な考察。とにかく宗教軸での世界史・文明史という読み物としても滅茶苦茶面白いし刺激的。三部構成の最後"近代現代"では、ムスリムに関する記述が主になってくるが、ヒズボラ、ハマスの起源、イスラエルによる中東の緊張と暴力からアフガニスタン、イラク侵攻の流れが簡潔に整理される中にボスニアでのジェノサイドが挟まれ、イスラム世界と欧米の関係における地理的視点が自分なりに更新された感じがしている。今回のハマスのイスラエル侵攻に対する欧米の反応が、この視点で見ると如実に理解できるし、いわゆるグローバルサウスと欧米の距離についても、その根深さに気づかされた。
『
近代における宗教的暴力は突如発生した異物ではなく、近代の一部である。』、『
今日われわれに必要な思想は、過去において預言者が行ったように、現在の「経済的歴史的状況」に内在する解決困難なジレンマに直面するよう人々を仕向ける思想である。』 考えていきたいと思うし、モノの見方を深めなければ、そのためにはもっと知らなければ...とも思う。
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「
走馬灯のセトリは考えておいて」柴田勝家
VR、AIネタ中心の短編集。論文風の「クラフツマンの秘仏」、「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」に、作者得意のというかこの界隈でいちジャンルとなってる感あるアイドルものの表題作、「信長の野望」ネタでペンネームのネタばらし(?)「姫日記」、複数のアンソロジーで読んだ(ので勝手に個人的にちょっと色褪せてきた)「オンライン福男」、他1編。絶妙に深堀足りないのが味でもあり物足りなさでもあるのを再々認識。「異常論文」というジャンルを発想するもとになったという「クラフツマン...」とか、実験結果をストーリーに合わせてご都合よく作っちゃったら興醒めするでしょ。表題作はアイドルSFジャンルの(が確立されれば)代表作になるんじゃないか、という佳作。"魂"について考察は雑な気がするが、結果的に"ゴースト"ってユーザーインターフェースじゃんって示唆になっていたり。
父が亡くなって間もないところも琴線に触れた理由かも。
08
雨の福岡。10時期限のチェックアウト後、近くのスタバで昨日の日記書いて上げたり時間潰してループウイラーに行ってみる(何年振り?)。試着してみて
吊り裏毛の新生地製のスエットパンツを購入。
パーカー版はフードの感じと温かそうな裏生地はよさげなんだが、いや何着も持ってるし...ってことで見送りました。その後空港に移動、昼飯食ってお土産買って、15時の便で東京に戻る。イスラエルのニュースを追ってるとゲンナリするが、
ラグビーWCの日本vsアルゼンチン戦がいい試合(負けたけど)で少し気分が持ち直した。領土紛争で多くの人が亡くなる一方でスポーツ大会で熱狂する...それが世界だと再認識。
07
福岡のマンションを整理しに朝から羽田へ向かう3連休初日。9時過ぎの便には芸能人の姿がチラホラ。これから飛ぼうとするところで、マンションの鍵を持ってきてないことに気がつくorz... 福岡到着後、探してみたけどやっぱり無い。さて困ったとまず宿を探したあと、ラーメン食って(
ココ、美味しかったです。焼売ごはんのセットが良い)、夕方までの時間潰しないか探す。市立美術館で「
GIANT
ROBOTS -
日本の巨大ロボット群像」やってるのを見つけ大濠公園へ。
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鉄人28号を起源に、マジンガーZ、ゲッターロボ、鋼鉄ジーグ、ライディーン、ボルテスVなど懐かしいロボットアニメから、スタジオぬえとパワードスーツを挟んでのガンダム展示、サンライズ系アニメの時代含むボトムズ、ルパン三世最終話の装甲兵、メガゾーン23を押さえつつの再び巨大ロボットの時代への回帰を経て、巨大ロボット/人型ロボットとは...への考察パネルで終わる展示。終盤は殆ど知らないアニメだし、正直初代ガンダム以降のサンライズモノやボトムズは殆ど覚えてないしではあるんだけど、丁寧に作られて構成された展示はよく出来ていて、思いのほかじっくり回れた。私的ハイライトは、宮武一貴、加藤直之の巨大画でしたけどね。全体通しては横山光輝、スタジオぬえと安彦良和すげーなが感想。「鉄人28号
白昼の残月」は観てみたいなあ。図録は買わず、Tシャツを数点購入。
常設展も見れるので、こちらも回る。コレクション、特に現代美術のコレクションと展示の流れが素晴らしく、むしろこちらの方があたりだったかもってくらい面白かったです。気がつけば(巨大ロボット展あわせて)2時間半ほど過ごしていた。んで、ここでも親友Y夫妻に出くわし、驚かせてしまう。私は晩飯に関する連絡で、夫婦で巨大ロボット展に来るんじゃないかと踏んでいたんだけど。正解でした。
宿で休憩して、西新で親友Y、Szと中華晩餐。四年ぶりの集合だけど、そんなことは感じさせない気のおけない話。趣味の話で盛り上がれる貴重な友人たち。満腹になったあと、じゃあ
レノンへ。2杯ほど飲んで解散。宿に戻って、
ハマスのイスラエル侵攻のニュースを追ってるうちに寝落ち。
04
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3日火曜日から帰省して
市役所での手続きなどなど。いろんなところに電話しまくって、光熱費関係の名義変更やら電話やクレジットカードの解約エトセトラ。問題は株関係。全容把握できず、ほぼ進展ないまま。これは難渋しそう...。ひとしきり手続き関係やり終わったところで実家に置いてる蔵書の整理を始める。就職した際に送ったものからの大量の書籍や雑誌は、小さめの梱包に移し替えないと運べそうにない。次の帰省に合わせて箱手配することにして作業中断し東京に戻る。帰ってきたらアンディ・パートリッジのXTC画集が届いてた。「
POPARTERY」。XTCの曲をテーマにアンディが描いた画集で、ブラックでシュールなXTCの詩世界が素晴らしい。紙質、印刷のクオリティも高く、所有欲を満足させてくれる。限定2000部、直筆サイン入り。表紙は「This
is POP」。そりゃあ買うでしょ。
01
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「
南京事件」笠原十九司
「
盧溝橋事件から日中戦争へ」の終盤、南京侵攻についてはほとんど記述なかったのでamazonで探して、これがよかろうということで読む。1997年初版で、笠原氏のこれまでの研究・著書の集大成といったところでしょうか。序盤の盧溝橋事件から上海戦までは「盧溝橋事件から...」で読んでいるので、最新の研究というか日中双方の文献を詳細に検討した当時の流れと、ある程度戦後整理されたストーリー(本書が書かれた時点では致し方ないと思う)には違いが出るなあ...という感想はありつつ、ここで描写・整理されてる事件の内容に(独米の在南京者達による記録や記事が残されているんですね)、国際的に定めている"戦争のルール"に無知あるいは重要性を理解しないまま近代戦闘を行ってしまう組織の恐ろしさを感じずにはいられない。(特に武器を持たせる集団・組織)人間を律する"ルール"の必要性を痛感。この構図は、日中戦争後の中国でも、ベトナム、それ以外に数えきれない世界中の場所で繰り返されているわけで、伊藤計劃を改めて読み直したい気分。
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