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History/ Tin Pan Alley (日本クラウン, 1996):Tin Pan Alley関係のベスト盤。だから、同時期(1975-77年)の細野晴臣、
鈴木茂、松任谷正隆それぞれのソロ作品も入ってます。で、2枚組み全22曲。ブックレットは各曲のクレジットに解説、歌詞付き。ジャパニーズポップスルーツへの格好の入門盤。でも、非入門者には一寸ストレス。結局アルバムみな聴きたくなってしまうからね。どうせだったら"全仕事"みたいなボックスセットとかどうだろうか。CD何枚になるのか知らんけど。
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「Directors Label volume 2」Chris Cunningham (DVD)
クリス・カニンガムのビデオを観たのは、MTV深夜のテクノ系放送で、Aphex Twinの"Come To Daddy"が最初。当時は娘がまだ0歳で、夜中TV観ながら部屋の中歩き回って眠りつくまであやしてたもんです。懐かしいなあ...。久々に娘(今や5歳)と観ましたが、"Windowlicker"も全然覚えてませんでした。そりゃそうだ。
えー、主として
Warp系テクノのビデオ監督として有名な氏の作品集DVDで、初作で自ら失敗作と語るAutechreのPVから
Bjorkまで8作にCM、インスタレーション用映像作品など。
Portisheadの"Only You"がやはり出色でしょうか。
他にSpike Jones(vol.1)、Michel Gondry(vol.3)も出てます。
3セットの箱物買うと、各監督のインタビューなど掲載のブックレットが付いてきますのでそれで買いましょう。結構面白い裏話も披露されてます。
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Waiting For The Flood/
The Armoury Show (EMI, 1985):
John McGeoch追悼2。
the Banshees脱退後、元SkidsのRichard Jobson(vo)、Russell Webb(b)、元MagazineのJohn Doyle(dr)と結成したバンドの唯一のアルバム。英国でのプチヒット曲"Castle in Spain"を1曲目に、
Simple Mindsをさらに濃くしたような80年代中盤ならではのドラマチック・ロックを展開。当時はピンと来なかったし、CDで買い直した数年前もやっぱりいまいち..な印象だったんですが、久々に引っ張り出して、低音太めのヘッドホン大音響で聴いて感想一変。H Devote、S Strange 、Siouxsie Sue、J Lydonと毒ある人々と作った画期的なサウンドよりむしろ素直にスコティッシュ・ロック魂発揮してるこのバンドの曲と演奏に、本来のMcGeoch節が出てる んでは..と今更気が付いた次第。ネオグラム、ニューロマ、ネオサイケ、ポジパン...80年代UKNWのショウケース的ギターサウンドも聴き込むほど見えてくる。再評価する価値あると思うんだけど...
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Mirakle/ Bailey Tacuma Weston (Tzadik, 2000)
ノイズインプロのギター老師Derek Baileyに、内田春菊の漫画にも名前が出てきたこともある超技ベース弾きのJamaaladeen Tacuma。なんつう組み合わせ...と思ってみたものの、Tacumaはそもそも
Ornette Coleman門下だから、こういうのも有りか..と納得したりも。
ドラムの
Calvin WestonとTacumaは往年のコンビで、ひたすら畝り動き回るジャズファンクを展開。Bailey老師のノイズギターはこれと組んず解れつ。ただ緊張感は余り感じられず、各人の音色も硬質でないためメタリックなノイズの塊じゃない聴き易さが気持ちよい反面、ヒトによっては物足りなさを感じるかも。ワタシは単純に「Gang of Fourみたいだよね」と重宝してますが。
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「火星夜想曲」イアン・マクドナルド(古沢嘉通 訳)早川文庫SF, 1997
長かったあ... 人類が殖民した火星の砂漠にある日開闢したディソレイションロードという町の盛衰を描いた、大河ドラマ。一時紛失していたため、読み終わるまで昨年11月から都合4ヶ月近くかかったことに。全550頁ほどですが、前半の修辞に修辞を重ねたような文体で登場人物の錯綜する人間関係、家系の説明にかなり苦闘。邦訳は健闘したんだろうなあ... 役者が揃った後半は、話の展開が加速していき、一気に大円団へ。そして全ての謎が解ける最後の一頁。苦労しただけあって読後感はなかなか感慨深いものが。
タイトルから想像つく様にブラッドベリを始め、そこかしこに様々な幻想/SF小説/映画へのオマージュが鏤められてて、そういうネタ集めでも愉しめるかも。しかしオマージュだけでは原典は超えられないのでは?力作・大作だけど佳作とまり...と一寸厳しく採点。うーん、でもまた何年かしたら読み直してみたいかも。
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Anything Goes/
Brad Mehldau Trio (Warner Bros., 2004)
Radioheadは「Kid A」1曲目"Everything in its right place"に、Paul Simon、Chaplin("Smile")などポップス選曲も目を惹く、トリオの新譜。
一聴、今回は随分地味にまとまってるなあ...と感じたものの、聴き込むだに丁寧にメロディーを中心に展開していくアンサンブルにはまってきてます。Evans的なテイストが強い、実にモダンジャズらしいピアノトリオ。その辺、選曲はポップス寄りだけど聴き手も耳がジャズ馴染みしてないと、ちょっと気持ち良さが判らないんじゃないかなあ...と懸念も。どうなんだろう。聴き流すんじゃなくて、ちょっと音の間に集中すると掴めるのかもしれない。
そいうえば、日本盤のライナーは青木和富氏だったのでした。でも、米盤に対して1000円も価格差ある日本盤を誰が買うのだろう?
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in Tokyo/ João Gilberto (Universal, 2004)
昨年初来日公演を行った、ボサノヴァ仙人の9月12日東京でのコンサート録音。
仙人拝みになんとかチケット入手してコンサートに足を運んだ方々と違って、特に思い入れの無いワタシのような人間が語るのも何ですけど、ヘッドホンで通勤快走中に聴いてても、空気の中に吸い込まれてく声とギターの気持ちよさ/同時に感じる侘びと寂びは声も出ずにただ耳と体を澄ますのみ。ボサノ ヴァの..なんてジャンルなど無関係に、普遍性のある音楽表現まで行ってしまってるのは、聴き流しながらでも感じることができるのではないでしょうか。
May 28 1955 - March 4 2004 (48) guitarist & song writer
Magazine: 77-80, Visage: 80, Siouxie & the Banshees: 80-82, The Armoury Show: 84-86, Public Image Ltd.: 86-92
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「消え去りしもの」
岡野玲子 (新書館, 1985)
「ファンシイダンス」「両国花錦闘士」「陰陽師」で今や大御所入りの岡野玲子も、勿論デビュー作というのはあるわけです。で、これはグレープフルーツに連載されてペーパームーン・コミックから出た単行本デビュー作。(初の単行本ということであって、デビュー作他最初期作品群は、「妙技の報酬」つう短編集が出てます)
数千年前に封印さたエトとい国土端を発る、法で支される世界の崩壊と再生を描いた、和製ファンタジーコミックの傑作。1巻モノですが、6千年の時間をつなぐ世界観とストーリーが凝縮されてて、やや荒削りな部分も感じるものの、 読後感はなかなかのものです。個人的には「水晶竜」なんかより、数倍"本格"だと思います。
このヒトにしてこの手の作品というのはもう無いだろう...という意味も含めて見つけたら是非とお薦めの1冊。(
公式サイトによれば97年にスコラ社から復刊してますが、既に絶版の模様...)
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