This is POP!! | ©gaburu
'02.11
30
Blueprint/ Keith Tippett (RCA, 1972)
数週間前に御茶ノ水DUで中古を見つけた、キース・ティペットのソロアルバム。 ロバート・フリップがプロデュースつうことでその筋では著名な盤のCD復刻。という文句に釣られ、フリップ翁の名前でクリムゾン絡みってな手に取り方すると、これはきついでしょうねえ...。ティペットはカンタベリー人脈のヒトりにも挙がる英ジャズロックの、或いは英フリージャズの草分けピアニスト。を中心としたベース、パーカッション(と言っても振り物とかのSE系)トリオに奥方ジュリー・ティペットの声が入る、アコースティック でアブストラクトな絵画的インストルメンタル。夜闇の線路脇を家路歩きながら聴くロイ・バビントンのベースがとにかくカッコ良い。
 
The Sixth Sense/ Lee Morgan (Blue Note, 1967)
前回ネタでもカバーされてたリー・モーガン。モーガンといえばここ10年くらい定番的に良く聴いてるアルバムを、ついまた引っ張り出して聴く。 第六感なんつうタイトルにこのジャケットなんでついサイケデリック?と思わせぶりだけど(実際"Psychedelic"という曲もある)、60年代後半のハードボイルドな黒ジャズ全開。ジャズのカッコよさ気持ちよさを体現した天才の、名盤には入ってないけど、そういう通好み的柵無いところも含めて文句なしの愛聴盤。"Short Count"のモーガン-マクリーンのソロ交代の瞬間とかリピートして何度も何度も聴き捲くってたもの。その頃から20年経た最近、ラストのバラード曲"The Cry Of My People"が一番好きかも。
28
GLAMJAZZ/ Mecolodiacs (Hazelwood, 1998)
ドイツのレーベルから、トリオのジャズロックバンド。前回の西班牙(スペイン..って漢字でこう書くのね)グループとは全く違って、グシャッとした重量リズム隊にパンクジャズなエッジ効きまくりのギター(Joe Baiza)つう、これNo New Yorkから日本の地下ジャズ系に繋がるジャンク・ジャズ。スタジオライブをマイクで録音してると思しき粒粗くて生な音触りもそれもんで、2度3度廻してるとハマってくる。全21曲、カバーがうち5曲で、この辺ではお決まりのウルマーからオーネット・コールマン、で、嬉しいのがリー・モーガン2曲なんだけど、これはもう少し捻ったアレンジにして欲しかったなあ...。"Speed Ball"好きな曲なので。
23
EL CONCIETRO DE SEVILLA/ Carles Benavent, Tino Di Geraldo, Jorge Pardo (Nuevos Medios, 2000)
スペインのジャズトリオの1999年12月17日と18日マドリッドでのライブを収録。Carles Benaventというヒトがエレクトリック・ベース、Tino Di Geraldoドラムス、Jorge Pardoがサックスとフルートという構成で、1曲目が「Donne Lee」だったりすることから想像したとおり、ジャコ・パストリアスの流れ汲むウェザーリポート子孫。ドラムなんかは、ホンとにピーター・アースキン風だったりするんだけど、面白いのはリズム隊+リード楽器で順にソロとるつうサーカス的構成でなくて、3人とも阿吽でリードするお喋り型アンサンブル。ふと聴き流してしまうんだけど、良く聴くとコノヒトこんな凄いこと喋ってたのね...みたいな。スパニッシュ鍵な中東旋律もあって か、ヨナス・エルボーグと同系のフュージョン展開にも聴こえて、かなりお薦め。御茶ノ水DUで先週購入。
09
RHAPSODY/ RC サクセション (キティ・レコード, 1980)
1980年4月5日久保講堂でのライブを収録した、ロックンロールバンドRCサクセションの記念碑的アルバム。歴史的傑作と語るに異論唱える奴らは(自粛)なアルバムだが、最大唯一の欠点はLP1枚分しか収録されてないこと。まあ、それが故にワタクシ的ベストは「Please」に譲ってしまうけど。
おもむろにステージに現れたリンコ和尚がベースを取り上げて「ようこそ」のイントロ弾き始めた瞬間の鳥肌を、いまだ聴くたびに繰り返すおいらには、LPまんま再現したこの紙ジャケット、ビニール引っ張り出すたびにワクワクしたあの感じを(ついでに、一緒にライブ行ってたあの娘のことも..)蘇らせてくれる。
そういえば、今日何気に見てたTV、髭剃りのCMに「気持ちE」使われてるね。画面に向かって反射的に「うおー!!」と叫んで、かみさんに笑われてしまった。
08
PLEASE/ RC サクセション (キティ・レコード, 1980)
RCサクセションの数あるアルバムの中で、どれか1枚と言われたら、「Feel So Bad」も捨て難いが、やっぱりこれになるのかなあ...。所謂"King of Live"の名を欲しいままにしたこのロックンロール・バンドのエッセンス、アイデアの源泉が、無敵のポップ・チューンとしてパッケージされてる傑作。所謂80年代バンドの不動の面子による初のスタジオ録音盤という意義もあれば、フォークバンド時代の詩世界にR&Bのそれが溶け込んだ独特の言葉、スタックス系サウンドを大胆にある時は巧妙に取り入れたアレンジ、アルバムとしての統一感、生ナマとした録音、ジャケット面写真、裏側の楽屋・ステージショット、何から何まで文句なく完璧。
今聴いても全然古臭くないと感じるのは、リアルタイム経験者の呆言?かどうか...、オンエアーして下さい! TV曲のプロデューサー様。
07
Blue/ RC サクセション(キティ・レコード, 1981)
実は先週末に届いていたんだけど会社に放置してて、今週漸く聴けたRCサクセションの紙ジャケット再発シリーズ。「シングルマン」からこの「Blue」までと、何故か「カバーズ」の6枚。できれば2枚組みライブアルバム「Tears Of A Clown」までは全部再発して欲しい。
てなわけで、RCサクセションしか聴いていない今週。とにかくライブのオープニングの定番2である「ロックショウ」(オープニング定番1は「ようこそ」ね)で幕開けて、古井戸(って仲井戸麗市いたフォークデュオ)のカバーでこれもライブ中盤の必殺JBばりソウルナンバーだった「Johnny Blue」、とてつもなく美しい「多摩蘭坂」と続く流れは、瞬時にあの頃へ飛ばしてくれる。個人的な何やかにやと切り離して聴けないです、このアルバムは特に...。それはまあ置いといて、音の録音り方、ドスの効き方が尋常でない。個人的にも絶対外せない1枚。
04
Halo(アルファ, 1990)
福岡ユタカと矢壁アツノブのユニット"Halo"の1stアルバム。ベースはフレットレスぶいぶい云わすメッケン、ギターには窪田晴男、鍵盤にバナナ、コーラスにおおたか静流など、さもありなんな面子で固めてます。期待違わぬ出来で、当時はかなり聴きこんだもの。ベースの電気感とアフリカン・スケールのドラム・打楽器の個性的なリズム隊に、日本語ボーカルをエスノサウンドに乗せるボーカルテクニックは追随許さぬつうより唯一無二な福岡ユタカ。PINKよりも絶対こっちの方が良い。特に#9 "Amenity"前後の電気でエスノな疾走感に福岡氏の快唱が走る感じは、何度聴いても飛べる。全編渡るリリシズムと躍動感、後者は2ndでは少し成り潜める けど。
03
les enfants/ V.A. (ポリドール, 1987)
これ程オールマイティな1枚もないんではないだろうか。何やら突然出たオムニバス・アルバムで、その面子が、小西康陽、日向敏文、松田幸一、ヤン富田、小玉和文、花田裕之。一見バラバラなようで、全員ツボです...というヒトも結構居るのでは?(松田氏だけ渋趣味だが)と思う垂涎ぶり。で、音のほうも全曲スタンダード・ポップスのインストカバーという贅沢。万民聴いて文句の付けようの無い昼下がりのイージーリスニング。でいて、好きモノ同士なら薀蓄ひけらかし合うも可...という。
と、こんな言い様だけども、ワタクシ的には宝物的1枚であります。御託並べずまあ素直に耳通すが吉よ。さてあなたはどの1曲?ワタシはね...
01
Multi Venus/ 金子飛鳥(ビクター, 1992)
ポップス、ロック、ジャズなどなど領域問わずの電気バイオリン弾き、金子飛鳥姐さんのソロアルバム。 これ、今堀恒夫(ギター)がほぼ全面参加...という訳で、氏のファンも要チェックかも。のっけから重量級のギターノイズと、ドライヴかけまくるベースで飛ばすあたり今堀バンドという感じもしなくは無いが、リリカルでスケール大きい(アフリカン・ポップス風数曲あり..この辺ワールド・ミュージック・バブル時代つか"パルコな感じ"が染み出してるかも)領域不問のインストが要所で締める。凄みは無いけど纏まり良いいい感じのアルバムではある。
他には、渡辺香津美アコースティックセットやら、坂田明セット。それに何故だかメイシオ・パーカーとのデュオまであり。

2006年2月