This is POP!! | ©gaburu
'02.10
30
ゴールデン・ピクニックス/ 四人囃子(CBS Sony, 1979)
1stアルバム「一触即発」から較べると、色鮮やかで奥行きある音像に なった2ndアルバム。 シュールでメランコリックな詩/音世界も、陽性でむしろユーモアすら感じさせる揺ったりとしたものに変わってる。のは、ベースの交代(中村真一→佐久間正英)によるリズム隊の変化かもしれんし、SEやフルート中心の管楽器導入したアレンジの拡がりかもしれんし...とか、まあ、あるのだけれど、その奥に通底するのは、オールマン・ブラザースなアメリカン・ロック気質が充溢していることではないか。判り易いメインストリーム・プログレ・マナーは変わらず(もろフランク・ザッパな展開とかもあったりして)な一方、ギターの"鳴り"は森園氏が本来の煙気質を巧みに爆発させている...その辺の出汁加減が絶妙な、1stとはまた違う傑作。この後、森園氏は脱退けてしまうのだけど、自分が聴く四人囃子も、此処までってことになります。
29
一触即発/ 四人囃子(東宝, 1974)
学生時分(80年代)はアナログ盤凄い値だったような気がする四人囃子のメジャー1stアルバム(LP2枚組み)。CD化された時(1988年)には迷わず買いました。EP「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」が付録8cmCDで付いてるところも憎かった。
さて前回は、だらだらと89年再結成について書き連ねたけども、要するに、やっぱこのアルバムは始まりにして頂点と云える でしょう...ということですわ。所謂メインストリーム・プログレ(イエス、ピンクフロイド、ELPとか)の影響そこかしこに見せながらも、"侘び"た色合いの、ある種原風景的な音像。その辺、歌詞と音との嵌り具合の妙ってのがあると思う。這うようなベースラインにエレピが絡む「空と雲」とか。その辺の感触は、ベース交代しての2ndではまた随分変わって行くんだけど。
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Live Full House Matinee/ 四人囃子(RCA, 1989)
異論挟む余地ない日本式プログレの源流"四人囃子"の、1989年は有明MZAでのライブ盤。ケンソー聴いてて引っ張り出してきました。
これは、1989年に佐久間正英(二代目ベース、つうかプラスチックスの...とか言った方が通りいいか? )中心にホッピー神山入って再結成(あとは岡井大二/ドラム、坂下秀実/キーボードが元面子から)した時、アルバム「Dance」に続いて敢行した2daysステージをCDx2に収録したもの。で、自分の場合結局は、新譜メンバーが抜け森園勝敏氏が参加した、所謂"旧メンバー"部しかもう聴かない...。確かに佐藤ミツル(森園勝敏脱退後のボーカル&リードギター)時代の第二部(全体4部構成で、1,4部が新譜から)も悪くはないんだけど、名盤「一触即発」(1st)から2nd「ゴールデン・ピクニック」までの曲と詩の独特な感じが図抜けてるのはしょうがないかな...と思う。この辺、プログレとかいう範疇の音世界ではない。
掲示板に書き込んで頂いた、さくさんの情報見るまでは、最近の森園氏の精力的活動(四人囃子だけでなく二人羽織/岡井大二氏と/なんてのもやってるらしい)は全く知らんかった。観てみたい... なお、年末には紙ジャケで一挙再発の話もあるそうで。
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天鵞絨症綺譚/ Kenso (King Record, 2002)
"びろうどしょうきたん" 今年春リリースされた和式プログレの老舗(というか伝説の...というか)バンド、ケンソーの 最新盤。欧プログレを完全に消化して創り出したオリジナリティーつうか。音の輪郭、質感、圧力、異国趣味鏤めた多彩なアレンジメントの妙。なんか、月並みな麗句ですけど、これほんと凄い事になってますよ。先ごろ紙ジャケでボーナス曲(当時のライブ録音/アレアとか演奏ってる...)追加再発された2nd(1982年)の生真面目さと較べるとスケールというか奥ユカしさがもう全く。垢抜けた...というと語弊があるかも知れんけど、密度も厚みも濃いのに飄としてた佇まい。最近ライブもかなり精力的らしいんで、今度は是非生で聴きたい。
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Document 1989/ Mute Beat(Off Note, 1996)
以前ヒロシさんに録ってもらったミュートビート が遺した1989年芝浦インクスティックでの傑作ライブ録音CDx2。 漸く買えました。当時田舎在住モノ(1989年ってワタシ就職した年ある)には1ステージ完全収録は聖餐(ライブ音源編集盤は前出ありですが...)。再発感謝。 音質も文句なしの、ウーファーダヴ。ごりごりとしたエレキベースの質感と、エコーのかかった硬いリムの響きと、意外に饒舌な管楽器と。ギター(内藤幸也氏)加入(「マーチ」録音)直後だけど、それ初聴きした時よりも、ギターは溶け込んで聴こえる今回。disc2"Funka' Dub"が白眉でしょう。で、アンコール曲は、スケッチショウもアルバム最後に演ってる"Theme from A Summer Place"で締め。
20
(... But Is It Art)/ Nigel Hayes(Sunshine, 2000)
インテリジェントな和製職人ハウスや80年代耽溺テクノポップも、少し鬱的偏頭痛な 夕暮れ時にはちときつい。ので、重宝するのが、 公式通りのハウスグルーヴ。ひたすらベースラインの気持ち良さとエレピのクールさで淡々と盛り上げる、まあありがちなパターンだけど、ワタシはこの手に滅法弱い。この ロンドン出身のクラブ音楽作りナイジェル・ヘイズもその手。 ヴァイブとエレピでのせる正統派ジャズ系から定番のブラジリアン・パーカッションものにストリングスと絡めたりと、ネタは多様。だけど、フェンダーローズ一発、やや走りめのBPMできめれば絶品のクラブサウンドでしょ、ってな 分かり易さ。これは得がたい。生活必需品。
18
Audio Sponge/ Sketch Show (avex, 2002) 
べたべたな80年代テクノポップ(つかノンスタンダード)・リスペクトなスパンクハッピー。転じてこの噂の二人組み(教授も噛んでるし)。緩めBPM基調のモナドなハウス音楽。電子音の裏取るリル・ルイス並みの黒っぽさが実は70年代ブラック音楽髣髴としたり。いや、所謂テクノポップ回帰じゃないところが、フォロワー(+テクノドンYMO)とレベル違う。流石ボスキャラ。 まあ、意地悪く言えばYMOからポップス趣味人化した聴視者向けAORといったところか。つまりそれが自分であるわけだけども。
しかし、あの"ご機嫌如何123"のリメイク版(本家がやるのは反則だろう、という気もするが)までやってるとは知らんかった。そう言えば、この間久しぶりに伊武雅刀をTVドラマで見たような...
17
Computer House Of Mode/ Spank Happy(King Record, 2002)
2曲目まで聴いて、「つっまんねー...」とホンとに呟いてしまった、漸く聴いたスパンクハッピーのアルバム(結局シングル聴いてなかったし)。岩澤瞳嬢ってこんなに太ってたか?と思いながら、まあ、実は期待してた訳でもない、半ばハズレを予期していたというか...。
でもね、3曲目からはすっごく良い。モノクローム・セットのカバーも納得できるし、"ラゴスの暴動"(B2ユニット)もじりの"Riot in Chocolate Logos"も、とにかく最後まで、80年代細野系列リスペクト満載。つまりは、ピチカート・ファイヴのデビュー12インチ+あれこれ。なかなかの至福体験。2曲目は何度聴いてもツマランけど。
ところで、まさか#8ってマガジンのあの曲からタイトル取ってないよね。
14
The Mirror Man Sessions/ Captain Beefheart & The Magic Band (Buddha, 2000)
実際には1967年に2ndアルバム(結局はお蔵入りになった)の為に録音されたスタジオ・ライヴを後年(1971年)ブッダがアルバム化したもの。さらに正確には、このCD、2000年にその2ndアルバム用のスタジオ録音発掘音源を一部加えた、所謂67年10月セッション完全版。(この辺、事実関係かな~りややこしい...)
自分が始めて聴いたキャプテン・ビーフハートのアルバムがこのアナログ(ただしジャケット違いのエドセル盤)で、どれが一番好きと言われれば、"これ"と即答。天才ギター弾きアンテナ・ジミー・シミンズ加入直後の録音で、太鼓は勿論"ドランボ"ことジョン・フレンチ。延々と繰り返すアシッド・ブルースに隊長が咆哮するアドリブ詩吟、ブルース・ハープが乗る。"歴史的名盤"「鱒面」アルバム以前のここにこそマジックバンドのエッセンスがある、と鼻息荒く語らせて頂きたい。
13
Doc At The Radar Station/ Captain Beefheart & The Magic Band (Virgin, 1980)
フレンチ・フリス・カイザー・トンプソンから、気分はマジックバンドへと。で、まず棚から出してきたのがこのアルバム。1980年リリースの通算10枚目で、この後1枚(Ice Cream For Craw)出してビーフハートは音楽界を完全に引退する訳で、キャリアの到達点ともいえる孤高のサウンドが堪能できる傑作。ポストパンクの必殺バンド群もこれには敵わん、神拳並みのギター音楽"Dirty Blue Gene"。いや、ギターも凄いが、ジョン・フレンチとまた違うタイトに変拍子叩き出すアーサー・ウィリアムスのドラムも凄まじい。当代随一の技巧派楽団を非音楽家が率い て描く、音筆絵画。
因みにアルバム邦題は「美は乱調にあり」。 良く名つけたものよ。
10
Crazy To Exist [Live]/ Josef K(LYM, 2002)
仕事をサボって30分程ふらりと御茶ノ水DUへ。ホンとはミュートビートのベスト盤を買いに行ったのだけど、DVD付の限定盤は見当たらず...。でも、ジョセフKの1981年のライブ盤が。
ネオアコ者ならご存知の、ポール・ヘイグ率いた、80年代初期のギターポップ・バンド。どうやら、日本のセンチュリー・レコードつうところから「Rare Live」というタイトルで出てたらしい、81年4月のライブ10曲リマスターに8月のライブ10曲加えたもので、80年代者なら、あれみたいな...これみたいな...と思わず呟く 、英ニューウエーヴ・族サウンドへ分化する前のポストパンク的混沌。そこに乗るポール・ヘイグのある種クールな声が堪らない。で、アルバム(多分1枚だけ)はCDになってるの?
08
Live, Love, Larf & Loaf/ French Frith Kaiser Thompson (Demon, 1987)
元マジックバンドのジョン・フレンチとヘンリー・カイザーの共作に、リチャード・トンプソンとフレッド・フリスが客演したのがそもそもの始まりだったという、その筋(ってどの筋よ)には垂涎バンドの1枚目。これは2000年に再発された盤。ジャケットは初版が良いんだけど、今はこれでしか売ってません。
切欠はともかく、見事にバンドサウンドになってて、この面子でしか聴けないフォーキーなギターロック三昧(フレンチのドラムソロも1曲)。「ハイサイおじさん」「サーフィンUSA」の完コピも全く違和感ないところが凄い。最良のビーフハート・トリビュートとも言える快(怪)作で、トンプソン愛好家も是非。
06
Guitar Vocal/ Richard Thompson(Island, 1976)
フアポート・コンヴェンション系列引き続き。で、前回はスァブリックのソロだったんで、今回はリチャード・トンプソン。これは、1967年から76年までの未発表音源を76年にLPx2で出したものを1枚にまとめたCD。半分はフェアポート時代のもので、後半はリチャード&リンダ 時代のライブ録音中心。実は本家フェアポートより良く聴く盤。ジョン・カークパトリック(アコーデオン)入れたフェアポート面子での約12分"Night Comes In"のテレビジョンばりのクライマックス。これ聴きたいのが理由なのだけど、"イージー・ライダーのテーマ"やチャック・ベリーまで飛び出す、若きトンプソンの米国ポップスへのべたな憧憬こそが一番の聴きどころかも。夫婦で歌う"It'll Be Me"が沁みる...
04
Meet On The Ledge/ Fairport Convention(Islands, 1999)
1967年から75年までの主にサンディー・デニー在籍時を総括したCD2枚組みのベスト盤。デビュー盤からジョニ・ミッチェルの"チェルシー・モーニング"(これはデニー加入前)1曲入れて、後はデニー時代。といっても、アシュリー・ハッチングスが抜け、リチャード・トンプソンが脱退し、デイヴ・スァブリックがリーダーとなる変遷がある訳で、決して1時代とまとめて語れないわけだけども。初期の米国フォーク・ロック傾倒時代からトラッド導入して、両者が融合するサイケデリックな音世界が完成していくdisc1にぞくぞく。でも最近つくづく思うのは、デイヴ・マタックスのドラムって良いよねえ...だったり。前回ねたの68、69年のBBCセッション集と併せて聴くとまた興味深さ増す。ので、このベスト盤と併せて是非。
 
Swarbrick/ Dave Swarbrick
(Transatlantic, 1996)
前回盤のdisc2から続く、デイヴ・スァブリックのソロアルバム2枚のカップリング盤。それぞれ1976年("Swarbrick")と1977年("Swarbrick2")のリリースで、デイヴ・ペッグ(B)、サイモン・ニコル(Gr)と、当時のフェアポート・コンベンション面子での録音。 殆どトラッド曲だけど、ドラム無しの小編成で紡ぐアンサンブルは疾走感溢れてて、それがレアな英国フォークの魅了だと実感。小品ながら好演揃いで、アルバム2枚分26曲だけど、飽きない。
銜え煙草でフィドル弾く姿の"Swarbrick"のジャケット、これは1枚もので復刻して欲しいくらい。
03
Heyday/ Fairport Convention(Island, 2002)
掲示板へのtel氏の書き込みに つられて、数ヶ月前に買ったまま忘れてたフェアポート・コンヴェンションの1968-69年のBBCセッション集を引っ張り出す。所謂サンディー・デニー時代初期の スタジオライブで、デニー加入前の最初期で影響もろ出しだったバーズは勿論、ボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェルからジョニー・キャッシュまで出てくる、米国ポップス中心のカバー集という趣向。 トラッド、フォーク云々というより、ギターバンドとして卓越してたという証とも。
1987年に出た編集盤に、さらにオリジナル、トラッド録音を加えた新装盤。追加部分も良いよ。(因みにブックレットの写真もカッコ良いっす)

2006年2月