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Flux + Mutability/ David Sylvian +
Holger Czukay
(Virgin, 1989)
ホルガー・チューカイとデヴィッド・シルビアンの共演によるインストルメンタル。基本的にはギター音楽ですね。ジャーマン・エクスペリメンタル直系のアンビエント。とにかく何も考えずに身を任せれば、体が少しずつ浮いていく訳です。少しずつ。能動的に動くモノは何も無い、砂漠、
湖面、森林の中に出現する草原とか。約20分の曲が2曲しか入ってませんが、これで十分なのです。動きたくない時にどうぞ。聴く場所は問いませんので。
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To Chi Ka/ 渡辺香津美(Polydor, 1980)
前回のスティーヴ・カーン「Casa Loco」と同じく、NYCはメディア・スタジオ/ダグ・エプスタイン
による録音の、渡辺香津美1980年のソロアルバム。流石飛ぶ鳥落とす勢いの頃だけあって、録音費用の明細書見たくなる程の豪華面子。マーカス・ミラー&スティーヴ・ジョーダン、トニー・レヴィン&ピーター・アースキンの2リズム隊にマイケル・ブレッカー、
ジョー・カロなどなど。
これだけ集めりゃ悪いわけはない...と、意地悪な見方も無い訳ではないんだけど、ギター小僧堂々と渡り合ってるし、何と云ってもこのアルバムは曲が良いのです。比較的さっぱりした味加減は、イエロー基調のジャケットのまま。
このNY豪華面子録音路線は「Mobo」で極まるんだけど、聴き易さでこちらが上。愛聴。
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Casa Loco/ Steve Khan(Polydor,
1984)
とうさい氏風に俺的名盤を選ぶなら、筆頭5枚のうちに入れてしまうだろう、ワタクシ的名盤。スティーブ・カーンの1980年代中期のバンド"アイウィットネス"の3枚目にして最後のアルバム「きちがい館」。マイ・ベスト・フュージョンアルバム。
マノロ・バドレーナ(Perc.)にスティーブ・ジョーダン(Dr.)アンソニー・ジャクソン(B)の4人編成。バドレーナ氏のボーカルも入る熱帯テイスト、派手なソロ演奏は排したストイックな、でもよく歌うリズム隊、独特の浮遊感あるカーンのギターが渾然一体となった音世界。一貫してジャン・ミシェル・フォロンが手がけてるこのヒトのジャケット・アートの中でも、暖色基調の秀逸な1枚だし。
ラスト曲の"The Suitcase"は、最も好きなインスト曲のヒトツ。これは凄いよ。
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EPLP/ RC サクセション(Polydor, 1980)
最強の「トランジスターラジオ」始め、文句なし名曲ばかりのRCサクセション1976-1980年のシングル集。
豪華面子で録音した「ステップ/上を向いて歩こう」が、今聴くと時代を感じさせたり、久しぶりに聴くとまた違った愉しさが。所謂全盛期の5人でタイトにきめる「ボスしけてるぜ」とか、ライブ皆勤者は、あの空間で立った鳥肌再びだったりするんだけど、やっぱり一番好きなのは「汚れた顔でこんにちは」だったり。
他のアルバムもまたCDで買い直そうかな...と思ってamazon行ったら、紙ジャケで80年代始めのアルバム再発。
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Visage(Polydor, 1980)
参加メンバー的には、ウルトラボックス+マガジンな1stアルバム。ミッジ・ユーロ一派のテクノポップに、ジョン・マッガフのギター、バリー・アダムソンのベースという、ニューウエーブ黎明期ならではの取り合わせ
は未だ色褪せぬカッコよさ。仕事人で集めてポストパンクの舞踏音楽作ったろうやないかい!!つう大人の遊びは、その後のニューロマンティクスの先駆けとはいえ、
フォロワーとは一線画してます。エフェクト効いたスティーブ・ストレインジの声もクールで、ブライアン・フェリーのぬめり具合と好対照なテクノポップ世代ロキシーって感じ。今聴いても最高。
あ、ストレインジ氏は変態行為のかどで数年前に捕まりましたね。合掌...
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Where the Power Is/ Magazine
(Virgin, 2000)
Shelly
Devoteの流れで引っ張り出して聴いてる、一昨年に出たベスト盤。1978年から81年の間にリリースされた5枚のアルバムのライブ盤「Play」を除く中から満遍なく選曲されてて("Shot
By Both Sides"だけはEPバージョン)、お手軽。まあ、自分で選曲すればまた少し違ってくるんだけども("Model
Worker"とか抜けてるし...)、80年代に出たベスト盤よりは納得いく内容。
ポストパンク系のバンドの中でも、所謂ロック・フォーマットでこれだけオリジナリティある音つうのは稀有だったと思うんだけど。全く風化してない...なんて未だに熱くなってしまうのは、単なる懐古趣味の戯言?
因みに、全EPとピール・セッション集のCDx3箱セットも同時に出てます。こちらも宜しく。
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Warterson: Carthy(Topic Records,
1994)
ハラダさんの日記でも話題に挙がってて、引っ張り出してきたマーティン・カーシー家族の1stアルバム。ジャケット写真前面が、娘のエリザで、後ろの二人がカーシー夫妻。エリザはボーカル、フィドル奏者として若手トラッド音楽家とバンド結成したり、ソロアルバムも発表したりと精力的に活動してる若手英国フォーク音楽家の筆頭。マーティン・カーシーは言わずもがなの英フォークの最重要音楽家で、未だ先鋭的な活動をする、拙めが最も敬愛する音楽家。奥方は、これも英フォーク界にあまねく知れるトラッド・コーラス・グループ"ヲーターソン一家"のヒトリ。
2フィドル1ギターの構成をベースにして、3人が入れ替わりリード・ボーカルをとるスタイル。カーシー師はバッキングに回り、娘エリザを幾分か前面に出した作りだが、アットホームな甘さは皆無で、弦の重奏とトラッド歌唱だけで密度の濃い音とリズムを紡ぐ。94年の英「フォーク・ルーツ」誌で年間最優秀アルバムに選ばれたというのも頷ける快作。最近新譜(3枚目?)が出た模様。
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Spiorad/ Talitha MacKenzie
(Scanachie, 1996)
前回に続いて、タリサ・マッケンジー。1996年作の今のところは一番新しいアルバム。(公式HPなど見ると、未だに活動はしているみたいだけども...)
ラガマフィン(ダンスホール・スタイルのレゲエ仕様)なゲール語歌謡やったり、曲目もブルガリアの民謡など取り上げたりと、
挑戦的な音作りは、シンニード・オコーナーのエンジニアなどやってるクリス・ビルケット氏の手によるもので、いやこのヒト要注目。まあ、多彩なアレンジできるのも、タリサ小母さんのボーカルあればこそ。末尾3曲のゲーリック・トラッドの旋律の美麗な綴れ織り。堪りません。
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Sólas/ Talitha MacKenzie(Scanachie,
1994)
微冷微暖なテクノとゲーリック(ゲール語)・トラッドを融合したマウス・ミュージックの1stアルバムの歌い部
、タリサ・マッケンジーの多分最初のソロアルバム。(タリサはマウス...の1stのみ参加。そのマウス...の2nd以降は片割れマーチン・スワンのバンドと化して...以下略)
マウス・ミュージックよりポップなアレンジだけど、曲自身は所謂"マウス・ミュージック"や労働歌などトラッド(民謡)。適度な電気と木目の混ざり具合、ゲール語歌謡の独特の発声(な上に、このヒトの声質は矢野顕子似だと思う)の気持ちよさは、未聴の方には是非とも聴いてもらいたいもの。
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Buzzkunst/ Shelly Devote(Cooking
Vinyl, 2002)
元マガジンのハワード・ディボートが約10年の引退から突然復帰。しかも、かつての親友、バズコックスを共に結成したピート・シェリーとデュオ
"Buzzkunst"で、ロンドンでライブを。というニュースから2年。バズコックスのデビューEP「Spiral
Scratch」以来の共作が(件のライブ映像も入って)今年初めに遂にリリース。
と、口上しながらも、マガジンのファンサイトなどやってた割には漸くに通販で購入。正直、大して期待はしてなかったんだけど、ディボート完全復活!と思わず熱くなる入魂の出来。ポップ・ウィル・イート・イットセルフなサウンドに、往年マガジン時代のボーカル(髣髴と...じゃなくて、"あの"頃そのまま)。ポール・ヘイグやらアイスハウスとか思い出してしまう80年代の"あの"感じ。これならマガジン再結成しても大丈夫じゃない? つか、してくれ。
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