This is POP!! | ©gaburu
'01.09?
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What Did He Say?/ Victor Wooten
(1997 Compass)

ベラ・フレック&フレックトーンズの馬鹿テク・ベース弾き、ヴィクター・ウータンのソロ2作目。CDx2のソロ3作目(1999)は、正直ピンとこない(薄味)だけど、このアルバムは遊び心と技巧、 独特のユーモア(ポップさ)が結実した、傑作。技術ひけらかし的ジャズインストでもなし、妙に生真面目なバンドマスターもの(ベース弾きのソロアルバムにありがちな..) でもなし。自ボーカル曲にカバーも合わせて、歌心ある軽快ファンク。ニヤニヤしながら聴いてる。
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Live In Hollywood/ The Doors
(2001 Bright Midnight)

ライノが出してるドアーズのライブ音源シリーズの新作。1969年夏にハリウッドのアクエリアス劇場でやった2日公演+リハーサルを全3セット、リリース予定。で、その前に、サンプラーつうかハイライト部分を選曲したのが、このCD。正公演分だけでCDx2の2セット(計4枚分)だから、ここで聴けるのはホンの一部。ライブの熱狂は無いんだけど、逆にリラックスしたクールな演奏に聴こえるところがオモシロイ。選曲もカバーが中心だし(録音は完璧。これがずっとお蔵入りだったなんて..)。とは言え、これは飛ばして、発送遅れてる正公演分(リハーサル部分は10月予定)を購入が正解か?
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Uncle Meat/ The Mothers of Invention
(1969 Bizarre)

このサイトのBoardでも紙ジャケ再発売が話題のフランク・ザッパ。その再発売、2枚買うつもりの内の1枚がこの「肉オジサン」 (て、"アンパンマン"のキャラクターみたいやな...) 2枚組みの"予算不足で完成しなかった同名映画用の音楽"。disc1は、名曲"Uncle Meatのテーマ"、"The Dog Breath"のバリエーションに、映画の台詞や、ライブ音源、SEなどぶち込んだサントラ仕様。でdisc2は、いきなり映画のシーンが会話だけ30分くらい続いて、ジャズロック"King Kong"になだれ込む展開。会話部分もおもろいンだけど、特に愛好家でもないのに「これ聴け」つうのは厳しいかな..。いや、映画部分もなかなかのBGMになるんだけど(畏まって聴くもんじゃあない..と思うし)。まあ、自分はどれか1枚と言われればこれ。何度聴いても全然飽きないし。意外に人懐こいし。
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4/ Supersilent
(1998 Rune Grammofon)

M.I.Z.氏主宰"Jazz Pages In Green" で見知ったバンド。バンド名とジャケットのセンス(あと、曲にタイトルついてないとか..)に惹かれて、探した挙句2ndを発見。それがこれ(タイトルは"4"だけど、1stが3枚組みという..)。千手観音ドラム(手数多いってことね)にノイズ、サンプリング、フリーなトランペット(電子音と区別つかん)が重なる即興音楽が基本か。ゴチックな電子音響で始まり、また締めるアルバム全体の印象は、80年代のインダストリアル・ノイズ系に近くもあり、#3の歪んだノイズ・ジャズはJazzlandモノをハードコアにしたような。これ聴いてしまうと、そのJazzlandモノ始めとする音響系ジャズ達が半端に思えてしまう。だからといって、やり過ぎでもなく、生理的快不快の境界まで音圧上げる"ノイズ系"とは違って、隙間もあれば、静動の展開もあって(#6とか)、アルバムの構成も絶妙。
snd系の音数少ないエレクトロニカ(Jan Jelinekとか)と、このノイズ系音響ジャズ。両極端だけど、快楽中枢には同じ様に作用する感じ。
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Playing In A Room With People/ JBK
(2001 Medium)

なんとライブ盤。JBK (Jansen Barbieri Karn)の。リチャード・バルビエリの盟友、 Porcupine Treeのスティーヴ・ウィルソンがギターで、 テオ・トラヴィスがサックスという5人構成。Rain Tree Crawの"Big Wheels In Shanty Town"も演れば、 ミック・カーン のソロ・アルバムから"Bestial Cluster"なんかも(結構、カーンのソロから演ってる)。1997年は東京とロンドンの録音から。
唯一無二のエスニック・インストもの。が、ボーカル無しの物足りなさは無い、十分の密度(例えば、ベースやサックスが歌ってるわけで..)。流行るタイプの音楽じゃないのは良く解るが、この唯我独尊はもう少し認知されても良いんじゃないの?という気はする。「ブリキの太鼓」トラウマ世代(自分含む)の慰みモノってのは、少し勿体無いよね。
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A Paris.../ Jacky Terrasson
(2001 Blue Note)

ジョン・ハッセルのアルバム に参加してたフランスのジャズ・ピアニスト。ゆっくりと寂びたトーンを繰り返してた"そのアルバム"とはうって変わった、オーソドックスなビ・バップ。ギター(ビレリ・ラグレーン)やらハーモニカをフィーチャーした曲、エレピを弾く曲もと、アレンジ多彩だし、 ジャケット通りの洒落っ気と鯔背("ラ ヴィアン ローズ"とかね。これ秀逸.)に垣間見せるクールな音色が、 丁度いい具合の風通し。ガツンときたり、仰け反ったりする様なカッコ良さは無いけど、これはこれで好き。器用てだけじゃなくて、ちゃんと自分の間みたいなものがあるとこが良いよね。
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Life On A String/ Laurie Anderson
(2001 Noneuch)

ライノのベスト盤聴いて個人的に80年代初めまで遡り 聴きしてた、ローリー・アンダーソンの新譜。前作(ライブ盤)から6年振りらしいけど、 そんな訳で、私的にはタイムラグ無し。面子的には90年代のアルバム路線と云えるか (ヴァン・ダイク・パークスからミッチェル・フルーム、ルー・リードまで..)、 エキゾチックな電気音楽。デヴィッド・バーンに近い感触。"死"をモチーフにした 挿話的な詞世界を洒脱に語る声の優しさが、全体のトーンをアコースティックに締めてる ところは、変わらず強い"癒し"の効果あり。相変わらず、鯨の事を歌ってたりはするんだけど マクロコスモス的なモノの象徴としての鯨なのかな、と。個人的な内宇宙と、大宇宙的なもの の繋がりみたいなモノに対する霊歌みたいにも聴こえるけど、それは考え過ぎ?
本来は個人的なモノである筈の"死"と政治的なものを結び付けたがる昨今、これを聴いて 少しはニュースで充血した眼を癒したい気もする。
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「バーナム博物館」スティーヴン・ミルハウザー(柴田元幸訳)

ニューヨークの幻想文学作家、ミルハウザーの2冊目の短編集。
原著と邦訳版では並びが若干違うが、邦訳出版に際して「シンバッド第八の航海」 (「アラビアン・ナイト」の知られる3つの原訳とその原典/その中で、 "シンドバッド"として知られる冒険讀の語られざる物語について) を冒頭に持ってきたのは、正解だと思う。モノガタリ世界の緻密な描写を追ううちに (追わずとも)、作者の罠(拡散する多層多次元のモノガタリ宇宙)に、読者も自動的に 組み込まれる仕組み.("アリスは、落ちながら"は判り易いその種明かしとも言える)
ベネッセに改名前の"福武書店"時代が初版だから、もしかしたら絶版かも。カバー絵も秀逸なので、古本屋で見かけたら是非。
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Gaucho/ Steely Dan
(1980 MCA)

70年代スティーリー・ダン、最後のアルバム。トップクラスのスタジオ・ミュージシャンを使い捲くった、究極のフュージョン・ポップス (敢えてAORとは言わない)。いや、頂点という意味では、前作"Aja"だろうけども (あ、自分の娘の名前は、このアルバムから"読み"をとってる)、 憂鬱な終末の気配漂う、乾いた空気が個人的にはより好み。J.G.バラード的な"世界の終わり"に。
と言うわけで、今の空気に合うような気もする。とも思ったんだけど(14日現在)..。結局、アフガニスタン(タリバン)vsアメリカ(過去の支援者)の図式に落ち着きそうなのかな (15日現在)。
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Saturday Night Fish Fry/ VA.
(2001 Soul Jazz)

ニューオリンズ・ファンクのコンピレーション。スカタライツのキーボード、 ジャッキー・ミットゥのソロ・コンピ盤(これも良いよ) とか出してる英国のソウル・ジャズ・レコーヅから。このレーベルならではのB級な選曲。正統R&Bボーカルから、濃いファンク・インスト(いなたいコーラス入り)まで。基本のミーターズに、名前一度は聞いたことあるでしょドクター・ジョン(曲はエコー効いた 魔法的サウンドで、一歩間違えればキワモノなところを、ちゃんと一歩間違えてるカッコ良さ) も入った、裏口からの入門盤。もう、70年代アメリカンロックのネタ満載、細野ウォッチャーには必修的イカガワしさで、 薀蓄垂れたくなるところをぐっと堪えて、ここはブックレットに収録、アラン・ツーサンの 相棒だったマーシャル・ショーン(Marshall Sehorn)のインタヴューから。
(ファンクの定義って何?と聞かれて)
「そうだなー。思うに、ちょっと遡って、サイケデリックやファンカデリックな音を聴くと良いんじゃないかな。あーゆうモノは皆ファンクだと言えると思う ね。で、ニューオリンズ・ファンクつうことだと、ミーターズが基本を作ったと言えるんじゃないかね。で、更に言うとプロフェッサー・ロングヘアが居たと。ミーターズの音はProf.ロングヘアとは同じじゃない、てなことを言うかもしれないけど、 ミーターズを聴くとその中にProf.ロングヘアを聴くことができるし、アラン・ツーサンを聴いて もその中にProf.ロングヘアを聴くことができる、てな具合にさ。(中略) Prof.ロングヘアがファンクの父なのさ。」
因みに、Prof.ロングヘアはこのCDには入ってません。
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Giant/ The Woodentops
(1986 Rough Trade)

XTCのアンディ・パートリッジが変名でプロデュースした、英国のアコースティック快速パワーポップ・バンド「ウドゥントップス」の1stアルバム。リリース後、パートリッジが扱下ろしたりと、変なところで話題になったりもしたけど、一連の12"EPで培った独特のビートと、 少し牧歌的でフォーキーなメロディーが絶妙にハマッた傑作。EP時代のグシャグシャに盛り上がっていく狂騒が薄くなった分、当時は一寸肩透かし感じたものの、これは今聴くと、やっぱり最高。この感じは、後にも先にも、一時(ロロ在籍時の..ex.バウハウスのDavid Jも居ました)のJazz Butchers位しか無い気がする。12"EP"Well Well Well"をボーナスに収録してチェリー・レッドから再発。ところで、ラフトレードの80年代のカタログって、あちこち散逸しているの?
01
The Smiths/ The Smiths
(1984 Warner Music UK)

今聴き直してみると、一番好きなのは1stのこれ。そもそも、"Meat Is Murder"で初めて聴いたのが2度目の大学2年生だったのだけれど、 その頃は"Hatful Of Hollow"と、その2ndア��バムばかり聴いてた気がする。 当時1stの印象が薄かったのは何故かは判らないけど、このレアな録音とミックスが、今の自分の耳には、断然しっくりくるんだよね。 アンディ・ルークのベースがスミスにおける自分のツボだと再確認。 (だから、"Queen Is Dead"以降は、全然ピンとこなかった...) #5,10,11なんて、こんなに良い曲だったけ、と発見も。 ジョニー・マーのギターも、今となるとこのニューウエーブっぽさが一番良いなあ。

2006年2月