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某氏から、「フェイバリットSFなぞ教えて下さい」なる話を頂いて、ちょっと考えてみてるんですけども。まあ、どうせなら自分のHPのネタにしようかな、ということで。思いついたらたまにやってみますの1回目。"これ読んで死ね"つーか、"これ読んで死んだ"のマイベスト10冊海外SF版。順番に意味無し。現在絶版の奴もあるみたいですが...。
「火星のタイムスリップ」フィリップ K. ディック(1968)
"現実"、"主観"の崩壊と自閉症の少年の内世界
なんともパルプな題名と裏腹に、これはあまりにディック的な"壊れた"小説。言葉自体が壊れていく様が所謂言葉による表現である通常の小説世界という範疇すら越えてる。川又千秋「幻詩狩り」と併読すべし。
「虎よ虎よ」アルフレッド ベスター (1956)
SF版(というより、ベスター版)岩窟王 で、宇宙も越え時空をも越える 永井豪的
驚愕のスケールながら文章の密度も濃い。所謂"ワイドスクリーン・バロック"という言葉はこの1冊で知った。
「黒い時計の旅」スティーブ エリクソン(1989)
ヒトラーのポルノグラフィーを書くことになる男の数奇な人生
20世紀を舞台にしたパラレル・ワールドもの..と言えばそうだけど物語時間、さらに話の筋さえどうでも良い物語は虚構と現実の意味すら無くしてしまう
「バートン・フィンク」と同じ感触。
「泰平ヨンの航星日誌」スタニスラフ レム(1971)
タルコフスキー監督「惑星ソラリス」の原作で知られるポーランドのSF作家レム爺の風刺SFの傑作シリーズ レム版「ほら吹き男爵」
モンティ・パイソン程痴的でなく知的。他に「回想記」「現場検証」など どれもお薦め 古本屋で見つけたら即買うべし。(絶版中らしい)
「カエアンの聖衣」バリントン J. ベイリー(1976)
"究極のスーツ"を求め宇宙を旅するという荒唐無稽な所謂「馬鹿SF」。詰め込まれたアイデアの濃さ..と、ここまでやるか!と呆れてしまう暴走する展開。
「残像」ジョン ヴァーリイ (1978)
個人的にはサイバーパンクの源流と思う「八世界シリーズ」の短編集。ヒトが既に遺伝子の先天的束縛を捨て去った遠未来までを詩情豊かに歌う
この連作集がヴァーリイのベストだと思う。
「夢幻会社」J. G. バラード(1979)
軽飛行機である町に墜落した男が、その町から出ることができないまま経験する奇妙な出来事.. メタモルフォシス讀の傑作
擬似アシッド体験とも言えるかも。初期バラードの空疎で閉塞した感じは無く、爆裂する極彩色で性的なイメージ。クローネンバーグ監督「クラッシュ」の原作者。
「闇の左手」アーシュラ K. ルグイン(1969)
異世界の構築力の凄さよ 両性具有者の惑星へ送られた人類世界使節の顛末
というと萩尾望都「銀の三角」を思い浮かべるやも知れないが、これはもっと緻密。寓話的だが、ルグイン曰く「私の小説にメッセージは無い、だってフォーチュンクッキーじゃないのだから」
「光の王」ロジャー ゼラズニイ(1967)
60年代米SF版「百億の昼と千億の夜」(文庫版の表紙は萩尾望都だしね)。ヒンズー神話世界と西欧英雄讀の融合
散文的とも言える独特の文章。邦訳も絶品。ゼラズニイの面白さが一番分りやすい1冊かも。
「ソフトウエア」ルディ ラッカー(1982)
人類から独立したロボット達が独立の切欠となるプログラムを作った老教授(とうに引退)の脳を盗もうとする
という荒唐無稽なスラップスティック讀。軽妙でいて深い 第一回ディック記念賞受賞。読み物としては「ハッカーと蟻」もお薦め。
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little lights/ Kate Rusby
(Pure Records, 2001)
届いたばかりのケイト・ラズビーの3枚目のアルバムを。英国トラッド畑から出てきた女性シンガーソングライター。待ちに待った新作。プロデュースは前2作と同じくJohn
McCuskerで、参加メンバーも殆ど同じ布陣に加え、元ディコーン・ブルーのエヴェン・ヴァーナルや、ケルティックバンドThe Solasのジョン・ドイル(因みにマガジンのドラムのヒトとは別人ね)など。ドラムレスのトラッドな編成ながら、手練の醸すノリ。ギターの細かい技なども聴き込むだに見えてきて、絶妙のバッキングは相変わらず。
で、主役のラズビー嬢。声質の微妙な感じ、ちょっと形容詞浮かばないんですが...、甘く少しだけ物憂げな感じもある柔らかいボーカルは、ある意味色っぽくもあり。曲によっては切ない感じも絶妙に出てるし。前作までより落ち着いた感じ、安心感を与えてくれる器の広がりを感じるというか...。難しいなあ...(惚れ込んでます、はい)
トラッドのアレンジから自作曲まで、ソングライターとしての力量も堂に入ったものです。何れにせよ、若返ってる英国フォーク界の中心になるボーカリストと勝手に断言しても良いんでは。(繰り返しますが、かなり惚れ込んでます)
この切なく、でも包容力ある感じ、未だに根強い人気のあるフェアグラウンド・アトラクション好きなヒトも試しに聴いて貰いたいな。既に、エディ・リーダー引き合いに出す声もあるという話。そう言えばリーダーさんもコーラスで参加しとるよ。
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Revisité/ Erik Truffaz
(Blue Note, 2001)
フランスのジャズ・トランペット吹きエリク・トルッファズのリーダー作。自カルテットの生演奏とエレクトロニカ/音響ジャズ系の音楽家との共作を企図した3枚目、ろいうことらしい。(前作は"The
Dawn"、"Bending New Corners"という2枚らしい 何れもブルーノートから 早速チェックしてみよ)
初めて聴いたヒトですけど、マイルス直系とも言えるクール&シャープなミュート・トランペットを中心にした、電化ジャズが基本。曲によってはアコースティック・ベースを使ったり、と有機的な音響の使い方もツボ得てるけど、そのベーシスト、エレクトリック・ベースがまたゴリゴリしててカッコええ。ドラムのミニマルなリム(スティックでドラムの縁をカチカチ..と叩くあれ)・フレーズの組み合わせとか、絶妙。このバンド、生音だけでも、かなり面白いんじゃないかという感じします。で、電子系音楽家を導入してるところ。これも、"加工してる"感じはなく、巧い具合にアシッド感を引き出してて良し。総じてヒップホップ系というか"喋くり"も入るレアグルーヴなアレンジの方が自然。電子音楽の大御所ピエール・アンリの瞑想的被せ音響は、ちょっとやり過ぎ?これは、好みの分かれるところか。生音だけでも凄く良いだけに、ね。フランスのエレクトロニカ・コンビ"Mobile
in Motion"の微ノイズの匙加減が自分の場合はツボ。
Thanks toにはジャイルズ・ピーターソンの名が。アニキ、ここにも絡んでいたか。ふむふむ。
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neoangin/ Jim Avignon
(wonder, 2001)
ジム・アビニョンは、ベルリンを拠点にする若手気鋭のポップ画家。独特のキッチュにデフォルメされたキャラクター。2Dバーチャルな色彩と抽象的な線、造形。イビツな人物描写。そのお兄さんが音楽作りました、つうのがこのCDらしい。どうやら、画風からも伺えるように、テクノ世代の申し子みたいなヒトらしく、個展にDJ呼んでテクノパーティーやったりとかいう噂。
つーわけで、このCD、何とも不思議な味のテクノポップ(テクノじゃなくて)。マヌー・チャオのソロにテクノ・ポップ風味を加えたような、というか。
アルバム・サブタイトルが"a friendly dog in an unfriendly
world"つうくらいで、飄々とした面持ちと神経質なところが裏表。この感じはなかなか狙って作れるもんじゃないと思う。実際自分独りでどこまでやってるかは見当つきませんけど、芸術家(写真はいかにもゲイっぽい...)肌のオタク気質と妙にポップな自己表現がうまく出たのか、裏でちゃんとアレンジしてるヒトが居るのか(誰だ!?)。
ボーカルも、この手にありそうな"下手ウマな味"ではないし。バックの演奏もタイトだし、つーかギター、ドラム、ベースのシンプルなセットにシンセとループ被せるスタイル、めっちゃカッコ良いっす。"Gorillaz"とかとコンセプトも音も似てるかな。こっちの方がポップでカワイイ。
まず↓のリンクから画風をチェックして、それで気に入ったら、是非。意外にワザトらしくなくて、素直に楽しめる筈。
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Brand New Boots And Panties/ VA. and the Blockheads
(east central one/ Newboots, 2001)
まあ、いいからこれ買いなさい。悪いことは言わない。ついでにイアン・デュリー&ザ・ブロックヘッズのアルバムは全部買っても良い。この際だから。あ、ベスト盤なら2枚組みの"Reason
To Be Careful"がお薦めだけど。これ見つかんなかったら"The Very Best
of..."ね。それからライブビデオも是非。えー、ポスターとか↓のサイトで売ってます。Tシャツとか無いのかな...
あ、このアルバムは、去年3月に亡くなったイアン・デュリーの追悼盤。デュリー・アンド・ザ・ブロックヘッズの記念すべきデビューアルバム"New
Boots And Panties"を名うての面子をボーカルに再録したもの。曲目は、LPと同じ。演奏は2曲を除いてブロックヘッズ。衰えぬアグレッシブな演奏でやす。ミッキー・ギャラガーのキーボードってホンとええわあ...
取り合えず外れは無し...と言っておきましょう。とは言え、オリジナルを越えられないのは、致し方なし。無いものネダリはしないこと。実は、ロビー・ウィリアムスが入ってるのが購入の決め手だったんですけど(好きなのよ)、このヒトは意外に大人しくて、案の定はまってるのがビリー・ブラッグ。あと、フィーダーのボーカル、グラント・ニコラスの#8はカッコ良過ぎだけど、これは曲が良いんだよね。独り非音楽家のキース・アレンつうヒト(とり)が、パンクで締めます。
ハズレなしと書いたけど、まあ要するに、原版が捨て曲無しの名盤だってことですか。
初めてのヒトは、原盤/追悼盤どっち先に買っても良いけど、両方聴いて、ね。(因みに原盤のCD化版はボーナス入りで、超有名曲"Sex
Drug and Rock'n Roll"(デビューEP)も収録)
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Atom/ Namlook
(Fax, 1996)
フランクフルトを拠点に、ひたすら電子音をCDに焼き付けて発表し捲くる、テクノ仙人ピート・ナムルック。共作数知れず、自レーベル"Fax
+49-69/450464"からは、一時期は月数枚のペースでリリースしてたことも(最近はそれ程では無いが...)。
で、このアルバムはナムルック本人のみの名義の1996年作。2000コピーのリリースですが、未だたまに見つかることあり。
このCDは、是非とも耳核挿入型ヘッドホンで聴いて下さい。1曲目のミニマルなラップ音が直接脳内でプツプツと弾ける感触は、ヒトによっては受け付けないかもしれませんが、これは快感。テーマが"原子"というだけあって、素粒子のいろんな軌跡を音に変換したような様々なスタイル(というかアイデア)は、一貫して動物的な気配なし。その荒涼としたというか泰然とした風景が堪らんので��。原風景。
実際にはフランクフルトにあるラボで採音したものを加工して作ってるらしい。ふむふむ。
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bass communion
(Hidden Art, 1999)
アンビエント。
不穏なストーム音の中でベース・ギターが低く呟き続ける#3は、CANみたいで、アクセントになってますが(これは個人的にかなり好きな音)、基本は、まあ定番的なアンビエント。ジ・オーブ(1st)風の超宇宙音楽もあれば、エイフェックス・ツイン(ambient
works)的な不協で美麗な音響も。(全体的な雰囲気は後者に近いかな)
良いですねえ。クラスターとか、ドイツ電子音楽寄り。癒し和みでは無くて、空気に少しだけテンション与えてくれる感じ。
Porcupine Threeというエレクトロニカ・プロジェクト(らしい)の中心人物スティーブン・ウィルソン氏の自己プロジェクトらしいですが、そのPorcupine
Threeも聴いた事無いんで、それ以上素性については書けませぬ。すまん。(元ジャパンのスティーブ・ジャンセンとリチャード・バルビエリのユニットにも参加してらしいが、記憶無し)
自分が見つけた盤には、2曲収録のEP-CD付き。これが、特別仕様なのかも判らず。ちょいとこのヒト突っ込んで見よ。
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Piano Music/ Simon Jeffes
(Peregrina Music, 2000)
1997年に亡くなった、ペンギン・カフェ・オーケストラの中心、サイモン・ジェフス氏の未発表音源を中心に編纂したコンピレーション。プロデュースは、ペンギン・カフェにも参加していたスティーブ・ナイ(ジャパン「ブリキの太鼓」のプロデューサーね)。
1曲目は、99年にペンギン・カフェ・オーケストラの元メンバーらで録音された、ジェフス氏のスコア。透明な女性ボーカルとこじんまりした。弦楽が気持ち良い小曲。これを除いて、氏の死後、1974年から1996年までの間に録音してたテープから起こしたピアノ独奏。録音年代は結構幅があるものの、ペンギン・カフェのあの曲やこの曲の原型がちょっと見え隠れたりで、あの極楽音楽の秘訣は、ジェフス氏独特の旋律と体内時間にあったんかなあ、と思ったりも。これに、あのアコースティックな弦楽器と打楽器がミニマルに絡んでくと、ヒエロニムス・ボスの絵画の様な不思議な楽園とその住人が現れるのかあ、なんて。
ゆっくり流れる空気と水の様な音楽。時間の流れを緩めたいときに、どうぞ。
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Zoom - The Legendary MPS Sessions/ Volker Kriegel
(Motor Music GmbH/MPS, 1999)
69年から71年のモンドジャズ・バイブ奏者デイブ・パイクの欧州バンドで活躍したドイツ人のギタリスト、フォルカー・クリーゲルのCD2枚組みコンピ盤。disc1が在籍時のデイブ・パイク・バンドから選曲されてて"サイドマン"時代。disc2が、71年、自バンドを結成してからの"バンドリーダー"時代。
パイク・バンド時代の少し尖ったラウンジ・ジャズも良いけれど、やっぱりdisc1終りからdisc2"ソロ時代"のアシーッドなジャズロックが、やっぱり好み。ジョン・マクラフリンとかハイテンションなバンドアンサンブルで疾走(グルーヴ)するジャズロックが出てくる時代だったんだなー、と、disc1⇒2と聴きつづけるにつれ、ツクヅク感じ入ったり。サイケデリックなギター・ロックにジャズグルーヴ、こういうの好きなヒト(つまり自分のこと..)には堪らんでしょう。なんとも、爽やかでリラックスした雰囲気の曲(#8とか)も良いしねえ。
ブックレットに載ってるアルバム・ジャケットもカッコ良くって、ソロ作集めようかなとも思ったんですけど、ねえ、CD化されてないの?因みにこのコンピ盤はリマスター。ブックレットもきちんと作ってます。これホンとお薦めだわ。つーか、このコンピ盤でしかCD聴けないみたいですよ。>CD化とか近作について何か知ってるヒトいたら、是非教えて下さい...
クレジットにジョン・マーシャルなんて名前が(ソフト・マシーンに在籍したことあるヒト)...と思ったら、disc1の14曲めでは、ロバート・ワイアットが参加してるではないの(1971年録音ソロ・プロジェクト)。むむ、カンタベリー人脈と欧州ジャズとの交流の跡か。同曲には、フランク・ザッパ「Hot
Rats」のバイオリン奏者シュガーケイン・ハリスも。
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Doue Lann/ Bagad Men Ha Tan - Henri Texier
(L'OZ Production, 1998)
フランスのジャズ・ベーシストでソロ作も出してる、アンリ・テキシェ(Henri Texier)氏がフィーチャーされた、ブルターニュ(フランス西の旧英領地方)音楽ビッグバンドのアルバム。テキシェ氏は堅実にウッドベース奏者に徹してて、ソロ作とは全然違う音でしたけど、これは全くの拾いモノ。これ、バグパイプ/スコティッシュ・メロディー好きには堪らんカッコ良さです。
なにせ、全部仏語なもんで、楽器の構成とかも録音風景の写真を観てしかわかんないですが、バグパイプとかソプラノサックスみたいな高音域管楽器の重奏つうかユニゾン(斉唱)。英国トラッドの中世的なメロディー(殆どの曲は、バンド指揮のピエリック・タンギー氏の作曲だけど)。トルコあたりから中東欧の管弦楽っぽい響きもあって、本家スコッティッシュよりも少しバリエーションもあり。
ヒトリでベースパートを担うテキシェ氏の深くうねるコントラバスもさりげなく自己主張で、これがいいアクセントになってます。とは言え、高音域が1枚分も続くと、少し疲れるが...。
ドウレンの風景を撮った30頁程の写真集付き。
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Whistling While The World Turns/ Bill Nelson
(Lenin Imports, 2000)
子供の頃、「未来図鑑」みたいな図解本みたいなの無かったですか?海底牧場とか、光速ロケット、ロボットが人間に奉仕して、天気を制御するテクノロジー、月面都市、宇宙ステーション...
イラスト入りで。ワクワクするような少年期に描く23世紀。或いは、50年代バブリーなアメリカン・フューチャーとかおフランスの機能的なのか良くわかんない妙にアブストラクトな産業デザインとか。キッチュで総天然色カラー、でその浮世離れが逆にネジレて見えるパルプ・ポップ。最近、90年代の音源をアルバム化してるネルソン先生の諸作品を聴いてると、そんな感覚に瞬時にトリップできます。
そんなネルソン仙人の昨年作。で、コマーシャル・リリースとしては最新のアルバム(1990年作の限定プレスアルバムのこれまた限定プレス再発つうのが一応最新だけど、これは一応置いとく)。シンセ類、打ち込みドラムを中心にした浪漫テクノに、万華ギターが隠し味という、桃源電子ポップ。殆ど意味不明の説明だけど、これ聴いてぐっとくるなら自分もまだ少年の残滓ありってことで。一度アルバム聴いてみて、ね、ね。以前のネタの"これ"とか。リリース時はLENINというレーベルから通販のみだったんだけど、アマゾンとかCD-Nowでも買えるようになったみたい。店頭に出てるかは知りませんが...。
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African Fantasy/ Trilok Gurtu
(ESC Records, 2000)
タブラ奏者トリロク・グルトゥのソロ・アルバム。このヒト、確かヨナス・エルボーグのアルバムに参加してて知ったと思うんですけど、90年代はじめ頃、JIMCOつうところから邦盤CDも3枚くらいでてた筈。
タブラのソロを全面展開したまんまインド風サイケ音楽じゃなくて、あくまでポップなフュージョン畑。オドロしいところ無いスマートな音で、タブラ=インド古典音楽みたいなこと期待して聴くと肩透かしかもしれない。むしろ、重なるシンセとごりごりファンキーなベース・ギターが特徴のこのアルバムなぞは、プログレ風の濃さ。とはいえ、テーマがアフリカ+インド音楽つうことらしくて、旋律にはアフリカ風とかインド風とかもふんだんで、シタールなんかもバリバリに出てきます。ほぼ全曲女性ボーカル入りで、これがまた濃いエスニック・コーラスを聴かせる。
こういう、エスニック・ファンクなプログレ・ポップ・ロック(やたらカタカナ並んでしまって意味不明だが..)って、日本にもいましたねー。誰かって?"PINK"ですよー。ボーカルが福岡ユタカになったらそのまんま、みたいな曲もあり。あの種の濃さが堪らなく好きなヒトにお薦め。
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