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Room Service/ V.A.
(Mole Listening Pearls, 2001)
MOLEというドイツのハウス/エレクトロニカ/ラウンジ系レーベルのサンプラー2枚組み。なんともヒトを喰ったジャケットとタイトル、変則デジパックの質感に釣られて購入。で、これまた自分が良く使う「使える」というフレーズにピッタシな、"聴き流せる"1枚ならぬ2枚。
1枚目の"make up
room"は、ハウス中心。殆どが女性ボーカルつーか声入りなんだけど、正調ソウル風でなくまあそう巧くもないところが、いい具合に気が抜けてて良し。2枚目"do
not disturb"は、ラウンジ風インスト多しで、中盤から少しエスニック風のチルアウトとか、少し捻り入ったB級ハードボイルド風のエレクトロニカ中心。聴き所はこの辺か。全体的に、尖ったとこなく引っ掛かりもナシの特徴なしだけど、ジャケットそのまんまの屈託無さが逆に取柄。ダラダラと呆けて聴くが吉。って最近そんなんばっかしの様な気が...。とは言えここ3週続いたコンピもの3枚は多分今年一番聴くことになるでしょう。
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World Wide Program 1/ Gilles Peterson
(Talking Loud, 2001)
UKクラブサウンドのジャズマスターことジャイルズ・ピーターソンが、BBCラジオ1に持つプログラム「World
Wide」のCD版、午前と午後の2枚組み。ラテンのりのホーンセクションでのっけ掴んでおいて、哀愁バンドネオンがメロディカ風の深いダヴチューンで弛緩させる手口。なんでこれが午前の部?ともぞもぞと低血圧気味にされた頭を掻きながら起きた辺りで、じわじわとクールで濃密なフュージョン・グルーヴで高揚させる趣向。ジョージ・ベンソンのギターがまったりな#6からハウス→ドラムンベースへといつの間にやら連れて行かれる先には、"気持ち良ければ何でも"的な享楽嗜好とは一線画すコダワリが見える。(気のせい?)
さて、ディスク替えるとまずサラ・ヴォーンの滴るようなボーカルをじっくり。懐かしのEBTGを彷彿とさせるボーカルものから70年代風ファンク辺りはお家芸?
"所謂ジャズ"も配しながら、揺らしていく選曲と繋ぎの巧みさに思わず「アニキ、カッコ良いっス」と呟く。
同じDJモノでも前回と違って家事の手を止め取り合えず椅子に座ってかけたいところ。晴れた休日の午後にはAMサイドを、夕暮れになったらPMサイド(ぎりぎりまで眠りたい平日の朝には止めた方が...)。PM中盤の少しグラデーションかかったミニマルな色彩は夕暮れのオレンジと紺碧の狭間にハマリます。
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Re-Members Only/ King Britt and
SYLK130
(Ovum Records, 2001)
ここんとこ60年代終りから70年代始め関係だったところで、今回は一気に80年代。でも相変わらず懐古趣味。
ハウスDJのキング・ブリットが80年代のソウル・ポップスをラジオDJ風でお送りするコンピレーション。アリソン・モイエに始まり、ABCのマーティン・フライからデ・ラ・ソウルまで、カッコ良いやら懐かしいやら。別に知った曲があるというわけではないけど、ニューウエーブあがりのシンセ・ベースとプリセット・パーカッションの音の味わいは独特。思うに、あの軽くて深い音色の磁気治療器みたいな効き方が堪らんのではないでしょうか。どれもこれも似たようなって言うんではなく、1枚1番組か?、通して聴かせる選曲の巧さよ。
MTVゴールデンタイム的な軽薄なソウルポップスなんて、大好き(笑)ってなヒトビト(含む自分)の生活音楽に。手っ取り早い気分転換、花見の(ってもう終り?)CDラジカセ用にも使える一枚。自分の場合、結局こういうの一番聴けたりする日常。
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Live at the Lighthouse/ Lee Morgan
(Blue Note, 1996)
ドアーズのジム・モリソンが死んだ(1971年パリ)翌年、NYで恋人に射殺されたリー・モーガン(享年33歳)。不良トランペット吹き。50年代後半頭角現し、アート・ブレイキーのメッセンジャーズで活躍。ドラッグによる一時のブランク経て63年名盤「The
Sidewinder」を発表。その後、正に鋭利な刃物のような切れ味ハードバップ・チューンで60年代後半を疾走。刹那的な演奏とも表されるけど、キャッチーなメロディーセンスと、狭間に垣間見えるロマンチストぶりが、ジャズの"カッコ良さ"を判り易く体現してるヒト。
で、今週のお薦めは、1970年カリフォルニアは名門クラブ"ライトハウス"にモーガンが自バンド率い2週間出演した最後の3日間を録音した3枚組。元のリリースはLP1枚に4曲だけ選曲したものでこれもCDになってますが、これ買うよりも是非こちらを。1枚ものでは物足りなくなること必至。
モーガン作は定番的名曲「Speedball」と「The
Sidewinder」だけで、後はすべて他のメンバーの曲。とは言え、メロディーやベースラインの明瞭な曲が続くんで、耳と体にすっと入ってくる感じ。千秋楽を迎えバンドの音もまとまりかつ余裕見せ、緊張感溢れる一期一会的なセッションものとは違う、真夏の西海岸な雰囲気も良し。このすぐ後にハービー・ハンコックのバンド彼の「ヘッドハンターズ」に入る管奏者ベニー・モウピンが大活躍で、バンマスのモーガンをぐいぐいと引っ張る威勢のよさ。リズム隊の走り具合もなかなか。
一気に3枚はちと腹一杯か。毎日1枚、日替わりで。ジャズと言うと、難解なアドリブ廻しやフリーキーな管楽器の咆哮を思い浮かべてつい敬遠したくなるヒトにこそ、リー・モーガン聴いてノリに身を任せる愉しさを体感して欲しいもの。
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