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The Story So Far/ Terry Seabrook's
Cunana Bop
(TCB/ The Montreux Jazz Label, 1999)
先日のウィーン出張で、ジャケ写の
ジャコ・パストリアス似のメンバー(テナー・サックス)が決め手になって買った、ラテン・ジャズ・バンド。スイスのレーベルからのリリースですが、バンド自体はイギリスで活動してる模様。これは2作目らしくて、1作目は別のレーベルからのようです。
リーダー/
テリー・シーブルックのバップ・ピアノを中心にした、パーカッシブなアフロ・キューバンのりのりでいながら、クールな演奏。2本のトランペットを中心にした管部隊が、ゴーゴー風の深く締まったリズムに乗る「サイドワインダー」(リー・モーガン!!)に代表される、縦横に疾走するグルーブ。メロディアスなサックスをフィーチャーした、ジャズバラードもひんやりとしててクールな感じ。カバー、オリジナルを取り混ぜて、あくまでジャズ(ビ・バップ)に拘った洒落っ気が清くて好き。イントロ、エンディングのピアノソロと、その元になってるヨルバ(西アフリカ)のトラッド曲の、美麗なメロディーで始まり/締めくくるところが、また単なる流行のアフロキューバンものとは一線を画して痺れます。
こりゃ、暑い夏に最適。暑くないドイツに住んでる自分は、珍しく晴れた週末に日向ぼっこしながら聴くとしますか。
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True Confessions/ The Undertones
(Castle Music Ltd, 1999)
アイルランドのギターポップ・バンド、"
アンダートーンズ"のシングル集2枚組み。ライナー冒頭の序文が、このバンドを言い得て妙。曰く「
シン・リジー程酒に強くないし、
U2のようにビッグになったこともない。だけど、その弾ける3分ギターポップはデリー(訳注:バンド出身のアイルランドの地方都市)中を完全に打ちのめした。」
そのとおり、シンプルでポップなメロディーを、疾走感溢れるギターに乗せるオニール兄弟(後に
ザット・ペトロール・エモーションを結成)と、
フィアガル・シャーキーの少し甘くちょっとハスキーなヴォーカル(声独特)が要。で、パンク以降独特の太く際立ったベースの音と、一寸もたり気味のドラムのリズム隊が小気味良い。
出自はパンク・ロックといって良いと思うんですが(1978年デビュー)、その後のニューウエーブへのUKロックの変遷に連れ、音も変化(1983年まで活動:あの
オレンジ・ジュースを前座に使ったことがあるとか...)。それでいて、ビートバンドの「粋」はしっかりと変わらずにいる所が、格好良いじゃないですか。実際このコンピレーションをずっと聴いてると、当時聴いてたUKロックの変遷とオーバーラップして、あれこれと色んなバンドを思い出してレコード引っ張り出したくなってしまう。
こういう、衒いのないビート・ポップというのは、ある種普遍的な痛快さがあると思うんですけど、どうでしょう。バンド名に思わず「懐かし」と呟いた人には当然、いい加減、神経症的なメランコリックや、シニカルなポップ趣味に飽きてきた人。これ、耳の掃除に是非お薦めします。
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Atom Shop/ Bill Nelson
(Discipline Golden Mobile, 1998)
70年代ギターポップ・バンド"
ビ・バップ・デラックス"のリーダーにしてボーカル/ギター奏者、
ビル・ネルソンのソロ。70年のバンド解散以来、ソロのキャリアはかれこれ20年にはなろうかという人で、途切れることなく精力的に活動。因みにこれは2年前のアルバム。
ジャケ写見て即購入。こういうコミック調でキッチュな感じは、もろ好み。更にブックレットというか歌詞カードのセンスも同じく(コンセプトは、"50年代アメリカのフューチャリズム"?)。んで、音。 サンプリングに打ち込みが中心で、懐かしのテクノポップをモダンにした様な愉しさ。ギターはむしろ機械のバッキングという風情。
実はこのアルバム、自宅録音を結果的に(その辺の経緯はライナーの自解説参照)そのままリリースしたものということ(
ミッチェル・フルームにデモ持って相談したら、「手加えんでもいいっちゃないと」と言われたとか)。音重ね過ぎで重たくなる傾向ある人なんで、このデモそのままのシンプルさは、個人的にも大正解。
ギターポップの酸いも甘いも知り尽くしてる人ですから、テクノなリズムにも、ギターを載せ方は絶妙。ギターのバックトラックに打ち込みを使ってるのではなく、機械と同調するかのように、コラボレーションしてる感じが、"悟り"に達したかの様。実際80年代から続く「自分のやりたいことやります」って活動歴からしても、「ギターポップ仙人」と呼んであげたい。
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Shortcuts/ Jazzpar Combo 1999
(STUNT records, 2000)
ハンス・ウルリヒ:Sax
ジョン・スコフィールド:Guitars
ラース・ダニエルソン:Bass
ピーター・アースキン:Drums
1999年の
デンマーク音楽賞(Danish Grammy)を獲ったアルバム「
Jazz and
Mambo」の、若干34歳のサックス吹き、
ハンス・ウルリク(同年のデンマークの権威あるジャズ雑誌のレコード・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたらしい)。このデンマークジャズ先鋭の若手音楽家が、3人のゲストを率いてライブ・スタジオ録音したのがこのアルバム。
えー、公式サイト/ライナーからの引用そのままだとそういうことなんですが(そのウルリク氏も件のアルバムも全然知らない)、とにもかくにも、ジョン・スコフィールドのギター目当てに購入。(視聴機のヘッドホンを耳に当てた瞬間飛び込んできたギターの音色で、次の瞬間には手にとってました)勿論、曲毎に表情の変わりながらも独特の「捻れ」が気持ち良いスコフィールドのギターも好きだけど、ウルリクのサキソフォン率いるこの一期一会コンボ4人の「のり」こそが一番の聴き所。
5曲目の「Music of My
People」なんて、ファンキーにうねるウッドベースに、スコフィールドのギター・カッティングと、これまたパーカッシブにのたうつサックスが絡む、ライブ録音。4人がお互いの微妙なリズム感覚の違いを愉しんでるようなグルーヴが堪らん。
北欧風ボサノバの7曲目。この涼しさ。クールなバップ風テーマと浮遊感の混ざり具合が絶妙な1曲目、などなど。北欧ジャズというと、
ヤン・ガルバレクくらいしかまともに聴いてこなかったけど、これ聴いて興味湧いてきました。
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